小貝川東部流域岩瀬明野幹線管渠推進工事(真壁郡真壁町)の立杭埋戻しに流動化処理土を使った新工法が採用されている。この技術を独自に開発したのはLSS八潮共同企業体。今回の工事ではメンバーの鈴縫・渡辺JVが24時間で固まる標準タイプで施工。八潮にあるプラントで製造した処理土を現場に運び、通常なら産業廃棄物となる汚泥を混ぜて埋立材として使用している。立杭は2箇所あり180立方mの工事を昨年暮れに完了、現在は190立方mの工事を行っている。急結性に優れた新タイプの技術も開発するなど品質の改良も進み、現場で発生する残土、汚水のリサイクルに最も有効な手段となりそうだ。
新技術を開発したのは勝村建設、古久根建設、坂田建設、鈴縫工業、中村建設の5社で構成する「LSS八潮共同企業体」。平成9年に流動化処理土の品質保証や製造、打設に関する施工技術の効率化をめざし設立した流動化処理工法研究機構(理事長・久野悟郎中央大学名誉教授)のもと、独自の研究組織を設立した。
今回の工事では、処理土を八潮にあるプラントから現場まで運搬、推進工事で出た汚泥1に対し、3の割合で処理土を混ぜ埋戻しに使用している。
流動化処理工法は、建設現場で発生した土や泥土に、水とセメント系固化材を適切な配合で混ぜ、用途に合った流動性、材料分離抵抗性を持った状態で必要な箇所に流し込んで打設するもので、適切な養生状態で固化を待って処理する。
流動化の特性としては、あらゆる土質の発生土が利用可能で、締め固めが不要なため施工の大幅な省力化が期待でき、その粘着性から地震などの揺れにも強く液状化しないことなどが挙げられる。
硬化前は高い流動性を持つので、狭い空間や形状の複雑な箇所でも容易に埋戻しや充填が可能だ。
都内を中心に多くの工事で施工実績を上げつつあり、大型のものでは横浜国道共同溝流動化埋戻し工事、埼玉高速線川口戸塚駅工事などで流動化処理工法が用いられた。
新しいタイプの急結性に優れた技術も開発され、工期の大幅な短縮も可能となった。今後は受注機会の増加も見込まれている。
鈴縫工業はこれまでにも県の発注で防空壕内の埋戻し工事(土浦市、203立方m)と充填工事(同、556立方m)で実績を持ち、今回が3箇所目の工事となる。
将来的には地域内・近接工事での相互利用による単価低減も可能という。だが問題が無いわけではなく、汚泥など産業廃棄物を扱うための中間処理業者の資格など法律上の問題がネックとなっている。
工事概要は次の通り。
国補小貝流下第11-09-098-Z-008号、管渠(推進)工事
【工事場所】真壁郡真壁町東山田
【発注者】県
【施工会社】鈴縫・渡辺JV
▼鈴縫工業(株)=本社・日立市城南町1-11-31
▼渡辺工業(株)=下館市稲荷町丙145
【工期】平成12年3月25日~13年3月15日
【契約金額】2億6、880万円(消費税1、280万円含む)