設計・施工一括発注方式導入検討委員会(委員長・国島正彦東大教授)は3月30日、検討委員会報告書をまとめ公表した。1つの企業あるいは事業体が一体的に設計と施工を実施するもののうち、設計の契約と工事の契約を同時に行う方式を対象に検討してきた。事務局は国土交通省など7省庁。昨年12月からこれまで3回にわたって検討してきた。
同方式が適している工事に、○施工方法が異なる複数の案が考えられ、施工方法等によって設計内容が大きく変わるなど発注者が設計内容を1つの案に決められず、施工技術に特に精通した者の技術力を得て設計することが必要となる場合○設備工事等で設計と製造が密接不可分な場合○完成までに非常に厳しい工程が強いられ、設計を終えてから工事を発注するという時間的余裕がない場合(契約時点で仕様が不確定なものを除く)○工事発注用の設計図書として事前に詳細設計レベルまで準備しない場合--などを挙げている。
工期内における設計費を含む工事費の増加または工期延長を招く不確定要因を指すリスク分担の考え方としては、○想定するリスクを洗い出し、リスクの性質を把握することによりリスクに対する分担を明らかにする○原則としてリスクは受注者が負担○受注者が負担できないリスクがある場合には発注者が負担○発注者が負担するリスクは契約図書に明記○発注者が入札手続き及び契約前に提供する資料は、設計条件として提供するするものと参考として提供するものとを明確にする--としている。
企業選定手続きは、企業形態、企業に求める資格・技術者、選定方法を提案。現行制度で実施可能なのは設計部門を有する施工会社への発注。建設コンサルタントまたは、建築設計亊務所と施工会社の連合体(コンソーシアム等)の制度化についての検討が必要としている。
また、企業に求める資格・技術者として、元請となる企業(体)に対しては設計、施工双方の資格の保有及び技術者の配置を求めることが必要としている。企業の選定方法は、技術提案総合評価方式もしくは技術提案価格競争方式を基本とする。手続きは入札時VE方式等技術提案を受け付ける入札契約方式に準拠するとしている。
一方、予定価格の算定方法については、数量等がある程度把握できる標準的な設計を実施し、概算数量により予定価格を算出。標準的な設計を発注者が行うことが困難な場合などは見積もりを活用すると提案。
また、設計変更については、設計に関するリスクは原則として受注者が負担することから、発注者から変更要請があった場合、発注者がリスクを負担すべき事象が発生した場合などを除き、通常の場合、設計変更は行わないとしている。
なお、発注者の関与のあり方については、発注時に要求事項を明示し、要求した事項が確実に実施されているか確認を行う形が基本し、発注者が要求した事項の変更指示を行った場合には、工事費の変更が必要としている。