首都圏外郭放水路整備を進めている国土交通省江戸川工事事務所は15日、排水施設完成記念イベント「音の迷宮~サウンドラビリンス」を庄和町上金崎地内の工事現場で開催した。完成すれば水で満たされ、地下のため「目に触れない外郭放水路を永く多くの人々の記憶に留めてもらいたい」との思いから、施工したJV各社の協力で行われた。地下空間を、大勢の参加者で響きと光により神秘の空間へと変化させ、盛況となった。
巨大な神殿を思わせる地下調圧水槽(深さ21m、面積約1万2、000㎡)での完成式典では、キャンドル点灯式やYAS-KAZ&一噌幸弘氏によるサウンドパフォーマンス、排水樋管内部を巡る謎の地底探検ツアーなど盛りだくさんのプログラムに多くの住民が参加した。
排水施設完成式典では主催者を代表し、加納敏行江戸川工事事務所長が「工事全体の進捗率は70%に達した。地下に潜む巨大施設を心に刻んでもらえれば嬉しい」とあいさつした。
来賓の佐藤直樹県土整備部長は「県東部の治水安全性が飛躍的に向上すると期待している。県では倉松川改修を鋭意進めている」とあいさつ。来賓にはこのほか三枝安茂春日部市長代理の山崎建設部長、石原弘庄和町長が出席。また地元を代表し、庄和高校ブラスバンド部長深堀綾乃さんが、治水性を高める外郭放水路建設に携わったJV各社に対し感謝の言葉を述べた。
排水機場管理棟を建設した清水建設・三井建設・銭高組JVの杉原所長が、施工会社を代表して「延べ数十万人の作業員が働いた外郭放水路は施工者として生涯忘れられない施設」とあいさつした。
点灯式では、安川歩関東地方整備局河川部長、加納江戸川工事事務所長、佐藤県土整備部長、地元の石原庄和町長、山崎建設部長、庄和高校の深堀さん、また施工者から佐藤JVの小倉所長、清水JVの杉原所長、五洋JVの村田所長、荏原製作所の小川所長が巨大キャンドルに点火。同時に会場内のキャンドルにも点火され、地下調圧水槽が幻想的な空間に生まれ変わった。
外郭放水路は、春日部市小渕-庄和町上金崎間の国道16号地下約50mに建設している延長約6・3kmの地下放水路。平成18年の完成を目標としており、14年には第1立坑-第3立坑間3、316mの試験通水を予定している。
このほど完成した調圧水槽は佐藤建設・奥村組・竹中土木JV施工(小倉所長)。請負金額約110億円。施設規模は長さ176m、幅78m、深さ21m、柱数59本、柱規模2×7m。
排水機場は清水建設・三井建設・銭高組JV施工(杉原所長)。請負金額約91億円。地上部広さ82×36m、高さ15・6m。地下部広さ77×71・5m、高さ32・5m。
排水樋管は五洋建設・名工建設JV施工(村田所長)。請負金額約28億円。樋管内径・幅5・4m、高さ4・2m、長さ174・1m、6連。
ポンプ設備は荏原製作所施工(小川所長)。請負金額約184億円。主ポンプ吐出量毎秒50立方m・立軸渦流斜流ポンプ2台。主原動機・二軸式ガスタービン(14、000PS、航空機転用型)、減速機・直交軸傘歯車減速機、発電設備・交流同期発電器(ガスタービン駆動)1、500KVA×2台、625KVA×2台、燃料貯油槽325KL。