国土交通省関東地方整備局は、建築工事の設計者と監理業務の分離を今年度から実施する。第1弾として熊谷市の交安研自動車第2試験場、東村山市の感染研村山高度安全施設、横浜税関本館増改築の各監理業務を近く出先事務所から発注する。また、それに先立ち設計者が施工者と監理業者に伝える設計意図伝達業務は、実施設計を担当した各設計事務所とこのほど随意契約を締結した。
これまで建築工事の工事監理業務は実施設計者がそのまま随意契約で監理業務を請け負っていた。しかし、工事中の品質管理の向上とコスト縮減が公共工事で最も重要視されていることと、ともすれば監理業務を随意契約することで発注者と受注者のなれあいのように思われることを回避する意味でも分離委託を促進させる。
同監理業務を受注するコンサルタントは設計者が施工者に伝えなくてはならない「設計者の意図業務」の伝達と施工者が作成する施工計画書のチェックなど。具体的には、これまで設計者しか分からない色、柄、らせん階段などの3次元の業務=「設計者の意図伝達」を設計者に代わり施工者に伝え、また、施工者が定める品質目標値の達成度などを協議していく。
分離業務の契約上手続きは、対象工事を選定し、設計者と設計意図を伝達するための業務を随意契約する。その後監理業務を出先事務所が指名競争入札で委託する。
今年度の第1弾として交安研自動車第2試験場(交安研)、横浜税関本館増改築工事(横浜税関)、感染研村山高度安全施設工事(感染研)3件の監理業務を近く委託する。交安研は東京第1営繕事務所が指名、横浜税関はレトロな施設という特徴が、また、感染研は細菌を扱う実験施設のため特殊性があるという判断で設計者と例外的に随意契約を締結することになるようだ。意図伝達業務はこのほど交安研を川鉄エンジニアリングと330万円で、横浜税関は香山・アプルJVと530万円で、感染研は日本設計と725万円で随意契約を結んだ。
なお、今年度は品質管理の業務において設計者と監理業務を分離したが、いずれは契約管理に関する業務についても分離の中で請け負うことになるとしている。発注者は会計法の定める監督業務に専念する。