勢多郡東村は、新富弘美術館建設に先立つ設計を、群馬県内では初となる国際設計競技(二段階審査方式による一般公募型設計競技)で選定するため、きょう8月1日付けで応募要項を一斉に公開、応募登録を開始した。同村では、星野富弘さんの美術館にふさわしい、やさしさにいつでも出会える美術館の創造を目指して、世界中から多彩なアイデアとデザインの提案を広く求めている。
13年度における競技スケジュールは、10月31日までインターネットで登録を、そして12月1日から翌年1月5日まで応募作品を受け付ける。その後、1月25日から2月1日まで応募作品を公開展示し、2月2日~3日の2日間第一次審査を行い、最終審査は2月23日に公開ヒアリングを経て、公開で審査する。
同美術館は、同村出身の星野富弘さんの作品を展示するため、1991年春に既存施設をリニューアルして開館した。13年で開館10周年を迎えるが、この間、美術館を訪れた人は370万人を突破。予想以上の反響に、1996年に改装と増築工事を実施したが、混雑による室内環境の悪化から、作品に対しても悪い影響を与えていた。このようなことから、1999年に美術館の将来計画策定検討委員会を発足させ、新美術館の実現に向け、具体的な検討を行ってきたもの。
同村の高畑村長は、星野さんの作品が人類普遍の心の教育につながるものと確信、美術館の設計案を世界中から求めることにした。これを受け、日本を代表する世界的な建築家で、今回の審査委員長を務める伊東豊雄氏は、現代建築の表現は、必ずしもヒューマンなものではないとの考えから、これを星野さんや東村の人々による現代建築への挑戦状と受け取り、新美術館建設工事の設計を、世界中から求める国際設計競技方式の導入となったもの。
審査の登録は今回、インターネットのみに限りっている。主な応募資格は、建築士法に基づく一級建築士である者、外国においては、今回の競技対象となる建築物の設計監理業務を行う資格を有する者などとしている。非公開となる第一次審査では5点を選び、その中から最優秀者一点(200万円)、優秀者1点(100万円)を選出。特定された設計者が同村と随意契約を結び、基本及び実施設計と工事監理業務を実施する(これら経費は8、000万円)。
新美術館の計画地は、既存美術館周辺の同村大字草木86-1外の敷地約70、000㎡。敷地内のほか、国道122号を挟んだ向かい側の山林も計画地として含まれており、建築方法や建物の形態等は設計者の自由な発想に委ねられる。計画条件としては、床面積は既存の約3倍となる約3、000㎡、建築工事費(外構工事費含む)は12億円で、展示作品数は100~120点、最小限必要な所要室は常設展示室900㎡(300㎡×3室)等となっている。
事業のスケジュールは、13年度8月から2月末にかけて国際設計競技を開催。その後、2003年5月末にかけて基本及び実施設計をまとめ、2003年7月から2004年8月末にかけて建設を進め、準備期間等を含めた2005年4月の開館を計画している。
関係者の話によると、現在、青森県の集合住宅においても国際設計競技を開催中で、これまでに3、000近い登録があり、そのうち、外国からの登録は約90か国から、登録数における割合は半数近くにのぼるという。美術館の設計にあたっては、随意契約による形態が多いとしており、今回の国際設計競技では、それにも勝る登録が期待できるという。