茨城県内に計画されている大型店で、15年1月から11月末現在までに27店舗について、大規模小売店舗立地法の手続きがあった。新しく店舗を開業する場合でも、出店する場所によっては増床案件として調整される例や、建物を増築する例もある。だが、12月末までの手続きが24店舗だった一昨年と比べると、すでに11月末で届け出されている店舗数を上回っていることから、徐々にだが県内での出店が増えてきた傾向といえそうだ。特に群馬県を本拠地としているヤマダ電機の出店が目覚しい。現在、水戸、つくば、鹿嶋に店舗を有しているが、新しく下館、石岡、ひたちなか、日立にも16年中に店舗が開業する見通し。一方、今後の出店傾向では、16年は内原と、土浦のイオンや、ひたちなかに計画されているジョイフルカンパニーの複合施設について、立地法の手続きがありそう。(株)三喜でも大宮町での出店を計画している。ここでは15年1月から11月末までに立地法の手続きがあった案件を地域ごとにまとめながら、今後の出店傾向に触れてみた。
●県北地域
県南地域の次に案件の届け出が多かった地域で、5月19日から11月28日までに8店舗について、大店立地法の手続きがあった。このうち3店舗が(株)ワンダーコーポレーション(つくば市西大橋599-1、小林哲美代表取締役)のワンダーグー店、2店舗が(株)ヤマダ電機(群馬県前橋市日吉町4-40-11、山田昇代表取締役)のテックランド店となっているのが特徴のひとつといえそう。
ヤマダ電機のテックランド店は、ひたちなか市と、日立市に計画されているが、ヤマダでは水戸市に本店を開業させて以降、つくば市や鹿嶋市に相次いで出店。現在では下館市や石岡市でも出店を明らかにしているため、日立店が開業すると県北地域ばかりか東西南北地域の中心地に店舗を有することになる。
県北地域での今後の出店傾向では、ジョイフル本田ニューポートひたちなかの隣接地に計画されている複合映画館や飲食店について立地法の手続きがありそう。(株)三喜でも大宮町に出店する考えがあるという。
●県央地域
4月28日から7月9日までにカスミ平須店、ワンダーグー友部店、姫子ファッションモールの3店舗について、立地法の手続きがあった。
ワンダーと、姫子モールは届出上、既存店の増床が中心だが、カスミ平須店については、新店舗の建設工事が現地で進んでいる。
ただ、昨年11月に開かれた立地審議会で夜間の騒音対策について意見があったため、変更を届け出た日から2か月間の開店制限が発生している。そのため開業するのは4月ごろになりそう。
県央地域で、これから計画されている大型店では現在、水戸市笠原町でのメガモールや、内原駅北土地区画整理地内でのイオンが明らかにされている。
このうちイオンは、(株)イオンモールが計画している大型商業施設で、17年度の開業が予定されているという。そのため、遅くとも向こう1年以内には立地法の手続きがあるとみられる。
●鹿行地域
5月にヤマダ電機が茨城県内で3店舗目となるテックランド鹿島店を開業させたが、一昨年に立地法の手続きがあった店舗のため、案件が届け出された店舗に限ると、ファッションセンターしまむら潮来店について、3月12日に新設案件が届け出されて以降、少なくとも新設もしくは増床について手続きされた案件はない。
しまむら潮来店も実際は既存店の用途を変更したうえでの売り場面積増床だったため、実質的に15年1月から11月末までの間は、新しい店舗についての届け出はなかったといえる。
●県南地域
立地法の手続きが最も多かった地域で、2月24日から10月14日までに12店舗について、新設案件が届け出された。1300㎡から2000㎡前後の売り場面積が中心となっている県北、県央、県西地域と比べて、1万㎡を超える大型店が3店舗あり、そのうち2店舗は出店予定地がつくば市となっているのが特徴ともいえそう。
9月には(株)カスミ(つくば市西大橋599-1、小?裕正代表取締役)が伊奈町内でのカスミ谷井田店について、新設案件を届け出たが、立地法が施行されて以降、出店予定地が伊奈町内で届け出された初めての例という。
一部では、つくばエクスプレスが17年秋に開業する見通しのため、「沿線地域での出店が多くなる傾向の第一歩」と見ている声もある。
実際に沿線地域で計画されている区画整理地では駅前を商業地区に位置づけている地域もあることから、エクスプレスの沿線を中心にして大型店の出店が十二分に予想される。
現在、県南地域で今後の出店が明らかにされている大型店では土浦市内に計画されているイオンのショッピングセンターについて、土浦市の合理化協議会が立地を承認する意向を示すとともに、イオン側が当初に予定していた16年8月の開業を17年4月に修正したことが昨年10月に明らかにされた。
だが、予定地の面積が5haを超えていることから、立地に際しては最終的に知事の承認が必要で、17年4月に開業するには遅くとも8月末でに立地法を手続きしないと日程的に間に合わない。そのため、6月から8月までの3か月間が鍵となりそうだ。
●県西地域
1月30日から6月19日までにドラッグストアクラモチ境店、エコス真壁店、ヤマダ電機テックランド下館店の3店舗について手続きがあった。
すでに、クラモチ境店と、エコス真壁店については立地法上の調整も終えている。テックランド店についても1月の立地審議会に諮られる予定のため、2月中にも結審する見通し。
テックランド下館店は現在、県内に計画されているヤマダ電機の店舗では、16年になって1番目に開業する店舗になりそう。