(株)東京商工リサーチ前橋支店(山内弘夫支店長)は、今年度12月度の県内企業倒産整理状況をまとめた。倒産した企業は11社で負債総額は81億6200万円。前月に比べて件数は5件減少、負債総額では7億9700万円増加した。前年同月比ではゴルフ場の大型倒産があったことから、38億6700万円の増加となった。
業種別倒産では、建設業3件、製造業3件、卸売業1件、小売業3件、サービス業1件となった。主な原因は不況型の「業績不振」が10件、「既往のシワ寄せ」が1件(100%)で依然として圧倒的な多さであることに変わりなく、中小企業金融安定化保証制度を利用した企業の倒産は8件と過半数以上に上った。
倒産形態では、内整理が3件、銀行取引停止が6件、破産が1件、民事再生法が1件となっている。負債総額が66億4200万円で最も多かったのは、吾妻郡中之条町五反田でゴルフ場を経営する(株)美野原カントリー倶楽部で、12月15日に前橋地裁に民事再生手続き開始の申し立てを行った。昭和46年9月設立と永年の業歴を有し、昭和48年10月にまず18ホールをオープンし、昭和57年に36ホールのゴルフ場となった。会員1578人を抱え、バブル期には会員権価格が1200万円内外まで高騰したが、不況突入後は同業他杜との熾烈な競争もあり業績は急速に悪化、近年は預託金の返還請求で資金繰りは多忙となっていたが、事業環境の好転が見込めない事から自力再建を断念して、遂に今回の事態となっている。今年5件目のゴルフ場倒産となり、3月の(株)本庄カントリー倶楽部の破産以外は全て民事再生法となっている。
平成15年4月以降、月次倒産件数は10件台で推移しており、企業間信用収縮並びに中小企業向けのセーフティネット対策の効果から銀行取引停止処分での倒産が減少していることから、前年比で見ると、6月と9月以外はすべて前年倒産件数を下回っている。倒産件数の減少が景気回復によるものと見られがちだが、好調な輸出部門を持つ大手製造業者を始めとした一部の大手企業ではそうかもしれないが、中小企業の多くは一時的に資金繰りが楽になった程度で景気回復の実感は乏しく、依然として厳しい経済環境の中にいる。
11月29日には栃木県宇都宮市の足利銀行が、預金保険法に基づき国が全株式を強制的に取得する「一時国有化」となり破綻したが、栃木県隣接の東毛地域中心に群馬県には足利銀行との取引企業は多く、不良債権処理加速に伴う経営不振企業の淘汰が促進されることが予想されており、今後の倒産増加が懸念されている。