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(株)東京商工リサーチ

倒産件数13社・負債総額は107億円/16年1月度の県内企業倒産状況

2004/02/10 群馬建設新聞

 (株)東京商工リサーチ前橋支店(山内弘夫支店長)は、16年1月度の県内企業倒産整理状況をまとめた。倒産した企業は13社で負債総額は107億5300万円。前月に比べて件数は2件減少、負債総額では10億円以上の大型倒産が3件発生したこともあり、25億9100万円増加した。前年同月比では件数は6件減り負債総額は10億3600万円の減少となった。また1月26日に佐田建設(前橋市)が発表した県内初の「私的整理ガイドライン」に沿った再建計画の影響について、同社では、下請企業を中心に建設業界全体に与える影響は計り知れないとしている。

 業種別倒産では、建設業3件、製造業3件、卸売業1件、小売業2件、サービス業1件、運輸業2件となった。不動産業を除くすべての業者で倒産が発生した。倒産の理由を原因別にみると、主な原因は不況型の「業績不振」が11件(84・6%)、その他「過小資本」1件、「放漫経営」1件となっている。中小企業金融安定化保証制度を利用した企業の倒産は11件と過半数以上に上った。

 資本金別では、資本金300万円以上1000万未満が4件、1000万円以上が9件。ドラッグストア経営の(株)太陽(館林市)の8925万円が最も大きく、次いで鉄骨加工業の(株)星野鉄工所(赤堀町)の1700万円、土木工事業の戸部建設(株)(玉村町)の1600万円となっている。

 当月は、負債総額が42億円の(株)太陽、30億円の(株)エーコーラックス、15億円の(株)星野鉄工所と大型倒産が3件発生。1月としては13年から4年連続で100億円を突破している。

 負債総額が最も多かった太陽は、東毛地域でドラグストアを経営。直営店は21店舗に及び、平成2年以降、大型店舗の出店を加速し業績は急伸、70億円を上回る年商をあげていた。しかし、同業他社との競争激化もあり、近年は下降推移となり、営業時間延長等で業績回復に努めたが悪化に歯止めがかからず、1月5日に自力再建を断念し、民事再生手続き開始の申し立てを行った。

 また、エーコーラックスはパチンコ店経営を目的に昭和59年11月に高崎氏において、興栄産業として設立され、昭和60年6月に「ぐんまの城」をオープン、その後積極的な出店を行い、最盛期には前橋市、渋川市、沼田市に計6店舗を経営し、ピーク時の平成8年3月期は年商100億円超をあげていた。しかし、相次ぐ大型店の出店攻勢に押され業績は急速に悪化、過大債務を抱え厳しい運営を強いられていた。

 佐波郡赤堀町の鉄骨加工業星野鉄工所は、1月6日に前橋地方裁判所に民事再生法の申し立てを行い、負債総額約15億円で倒産した。前橋市で対象4年に創業した老舗で、大手ゼネコン主体にピーク時には年商41億円超をあげていた。これら大型倒産の3社の負債総額は87億円にあがり、負債総額全体の80・9%を占めた。

 今後の見通しについて、15年の1年間をみると、倒産件数は6月と9月以外はすべて、前年件数を下回っていた。平成16年1月の倒産件数も前年同月比では6件の大幅減少となり、引き続き倒産は「沈静状態」にあるといえる。沈静状態にある倒産の特徴は、件数の減少に加え、「不況型倒産」の割合の増加、従業員5人未満の小規模企業の割合増加があげられる。全国的にみても、15年12月まで16か月連続して前年同月比を下回っている。しかし、預金保険法に基づき国が全株式を強制的に取得し、「一時国有化」となった足利銀行破綻に伴う今後の不良再建処理の加速が予想される。



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