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群馬県前橋市

公共事業は地域密着で/高木政夫・新前橋市長に聞く

2004/02/20 群馬建設新聞

 「変えよう前橋 起こそう風」をキャッチフレーズに2月15日の前橋市長選に挑み、現職候補を大きく引き離して見事初当選を果たした高木政夫氏(53歳)が本紙のインタビューに応じ、今後の県都前橋市のまちづくりへ抱負等を語った。高木新市長は、選挙戦で公約に掲げた中心市街地活性化などの実現へ強い意欲を示すとともに、公共事業については「厳しい財政状況の中ではあるが、市民生活に密着した公共事業は積極的に展開していきたい」と語る一方で、マニフェストに盛り込んだ子ども科学館建設の凍結と、ローズタウン住宅団地東地区の造成を見合わせる考えを改めて示した。また、市政を進めるうえでは「職員だけでなく、各界、各層の市民の皆さんから積極的なアイデアや意見を出してもらえるようなシステムを構築したい。市民以外でも前橋市の事を考えての意見ならドンドン取り入れたい」と、貪欲なまでに前橋市発展へ意欲を示す。バイタリティ溢れる若きリーダーは、3月1日に初登庁する予定で今後の舵取りに期待がかかる。

 高木新市長との一問一答は次の通り。

--当選が確定した直後の率直な感想をお聞かせ下さい

前橋を変えたいとする市民の気持ちが強いことを実感した。現職の壁を打ち破った市民パワーはすごいものだと思ったし、素晴らしいとも感じた。そして、改めて前橋を変えよう、期待に応えなければと胸に刻んだ。

--選挙戦では「前橋を変えよう」を旗印にしましたが、具体的にどのように変えようと思っているのですか

28万市民の力を結集できるような市政運営をすることが最も重要なことだと思っている。各界、各層からの市民の意見を吸い上げるような、市民の声が届くようなシステムづくりが大事だ。

--就任後、最初に取り組もうとされている課題は何ですか

まずは中心街の活性化策。中心部には空いているビルがあるので、専門学校の設置等ができればと思っている。教育も人が集うという意味で活性化に寄与できると思う。または、文化や芸術面でもギャラリーや展示等を通じて空き店舗の利活用を図りたい。

 そして、市で前橋テルサを取得し中央公民館を設置したい。これはできるだけ早く実現したい。テルサには、土曜、日曜も利用できる市役所の出張所も設けたい。

 これらの外にも公約で掲げたものについては、早期に着手したいと考えている。

--公約には子ども科学館の凍結を盛り込んでいましたが

凍結します。その理由は、運営費がかかりすぎだから。今の財政状況では厳しい。

 建設予定地の利活用については、地権者や中心市街地の皆さん、専門家等の意見を伺い、私の意見も言わせていただき、早急に計画をとりまとめたい。

 また、ローズタウン住宅団地についても東地区の造成は中止する。まずは、西地区を完売することだ。

--市立前橋高校の中高一貫学校への改編については

公約通り再検討します。中高一貫教育校については県立校の結論を見てからでも遅くない。今は時期早尚だ。現在、前橋には市立高校は1校しかなく、これまでの市立高校としての伝統や歴史を考慮しなければ。それに、近くには鎌倉中学、附属中学があり、この2校への影響もあるので慎重に検討したい。

--高崎市との連携事業についてのお考えは

就任してから高崎の市長さんと会って直接話をしたい。連携事業に限らず、継続事業に対しては市民にとって良いことは続ける姿勢。この点は単純明快だ。

--新年度予算については

時間が無いので、今の予定ではとりあえず暫定予算でいく。改めて5月に通年予算を編成したい。

--市役所の機構改革については

1年後をメドに行うつもり。まずは、市役所の機能をじっくり見てから、時代ニーズ、市民ニーズに適応するために必要な改革は、躊躇なく断行する。

--市役所の雰囲気づくりについては

明るさが足りないのでないか。だから、職員へは明るく、楽しくやりましょうと言いたい。そして市政をオープンにしたい、これはやりますよ。明るく楽しくということはそういうことだから。

 組織というものは、要は人。最終的な責任は私にあるが、職員の自己責任を明確にしたうえで、わかりやすくするためにオープンにします。

--公共事業についてのお考えは

財政が厳しいと、どうしても公共事業へしわ寄せが行ってしまうが、市民生活に密着した公共事業、地域経済を活性化できる公共事業は積極的に展開したい。反面、8番街は別として無駄なハコ物事業は抑え、空き施設等の有効利用を図っていく。また、私は地域密着型の土地区画整理事業や環境整備事業などに力を入れていく方針。もちろん、その中には上下水道事業なども入っている。また、景観を柱としたまちづくりを進めていきたい。

 新たな課として、「にぎわい課」を設けようと思っている。課名は自分が勝手に命名したので、もっと良い名称があれば変える(笑)。この課では当面、中心街の活性化に取り組みたい。テルサ内に設置できればと考えている。課員には時々、外に出てもらい直接肌で感じたことを活かしてもらえればと思っている。

--12月5日に3町村が編入合併しますが

(合併への)今までの流れを継承しつつ、合併して良かったと思ってもらえるように、私流の考えも加味したい。

 それぞれの地域の特色を活かしたまちづくりを進める。各地域の良さを守り、活かしたい。

--電子入札へのお考えは

これからよく勉強しなければならないが、限りなく公平に、ある面では業界の発展にも寄与できるよう考える必要がある。要は、最終的に市民にわかりやすいようにしなければ意味がない。

--県との関わりについてはいかがですか

県都・前橋市なのだから、県との協調連携は一層強めていかなければいけないと思っている。

--将来的に考えているハード事業の構想を教えてください

まずは、広瀬川を活かしたまちづくりを考えている。また、生活の臭いが感じられる中心部にするために、定住促進として民間活力を利用した住宅施策も進めたい。公共交通についてもよく検討したい。

--最後に、建設業界へエールをお願いしたいのですが

公共事業が減少していることは事実だが、こういう時だからこそ、質の高い工事をしていただき業界として発展できるようにしてもらいたい。



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