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(株)東京商工リサーチ

負債総額は8社16億円/老舗建設業など4件/県内の4月倒産まとめ

2004/05/11 群馬建設新聞

 (株)東京商工リサーチ前橋支店(中島聖二支店長)は、今年度4月度の県内企業倒産整理状況をまとめた。倒産した企業は8社で負債総額は16億2800万円。前月に比べて件数は7件減少、負債総額も大型倒産がなかったため3億3420万円の減少となり、2か月連続で負債総額が10億円台になった。前年同月比では件数で7件、負債総額では395億4400万円の大幅減。

 業種別倒産では、建設業4件、製造業2件、小売業1件、サービス業1件と、従来の不況業種である建設業や製造業の倒産が再び増加している。

 倒産原因では、不況型の「業績不振」が4件、「既往のシワ寄せ」が1件で倒産件数の62・5%を占める。その他「放漫経営」、「他社倒産の余波」、「偶発的要因」が各1件ずつで、中小企業金融安定化特別保障制度を利用した企業の倒産は5件と過半数を超えている。

 負債総額が6億5000万円で最も多かったのは、明治43年に創業した県内有数の老舗土木工事業者の佐藤建設(株)(前橋市城東町1-12-5)。4月30日に事業継続を断念し自己破産を視野に入れ事後処理を弁護士に一任した。パン・菓子製造の(株)フランスパン(前橋市本町1-5-1)は昭和2年2月に創業。官公庁への販売も多く、県央地域では規模・実績ともにトップクラスだったが、16年3月に発生した群馬県庁での食中毒事件の影響が大きく、事業継続を断念し4月6日に前橋地裁に自己破産を申し立てた。3月29日に事後処理を弁護士に一任し事業を停止した(有)ムラヤマ書店(多野郡新町2641)も設立は昭和34年7月と古く、永年にわたり新町商店街で家族主体の地道な営業だったが、郊外へ進出した大型店に客が流れ、業績は低調を余儀なくされ事業環境が好転しなかった。

 今後の見通しについて同社では、16年2月の倒産件数の6件と並ぶ1桁台となり、負債総額は前月、前年同月比ともに大きく減少し「倒産の沈静化」がさらに鮮明になっている。個人消費の低迷、円高、原料高、テロによる治安悪化などの懸念材料もあるが、大手中心に景気回復感が広がり、地域や業種によっては実感に差があるものの、景気は確実に「谷」から「山」へと循環している。

 また、今後は販売不振による売上減少、累積損失による資金ショートと言った景気後退局面での「不況型倒産」から、経済活動の活発化に伴う投資失敗、多角化失敗、金利負担増、事業外投資の失敗などに起因した企業倒産の増加も懸念されると分析する。



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