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オウム跡地(富士宮)に総合育成センター計画/来年6月頃の着工目指す

2004/10/20 山梨建設新聞

 財団法人日本盲導犬協会(東京本部・東京都渋谷区神泉町21-3、井上幸彦理事長)は、静岡県富士宮市内のオウム真理教富士山総本部跡地に「全国盲導犬総合育成センター(仮称)」の建設を計画している。不足している盲導犬を育成するための繁殖・研究施設のほか、障害者と盲導犬と歩くための共同訓練施設、盲導犬について学ぶことができる学習・交流スペースなどを備えた複合施設として計画するもので、来年の6月頃に着工し、18年春のオープンを目指す。

 同施設は、盲導犬を必要としている障害者に対し、育成頭数が絶対的に不足している状況を打開するため、新たに建設を計画するもので、建設予定地は静岡県富士宮市人穴381-1他の2万212・92㎡の敷地。同用地は以前、オウム真理教富士山総本部があった場所で、センター建設候補地の選定を進めるなかで、土地を所有する富士宮市と富士開拓農業協会から同跡地の提供の申し出を受け、現地視察、地質調査等を経て建設地に決定、先月までに同用地取得に係る覚書を締結した。同協会の井上理事長はオウムの地下鉄サリン事件発生当時に警視総監を務めていた。

 計画によると同センターの建物は各機能で独立した木造平家建てのいくつかのコテージで構成し、全体の延床面積は2351㎡。各コテージは敷地全体を巡る回廊で結び、各施設の機能を発揮するとともに一つの豊かな風景として体験できる「街」を設計のコンセプトとする。設計業務は千葉学建築計画事務所(東京都渋谷区神宮前2-5-4)が担当。施設の主な機能として(1)盲導犬候補の子犬のための衛生的に管理された出産・飼育施設(2)遺伝学的研究による盲導犬の繁殖体系確立のための研究設備(3)盲導犬の資質を持った犬の繁殖のための人工授精設備(4)引退した盲導犬がゆったりと過ごすことができる家庭的な環境を整えた施設(5)盲導犬候補犬の育成施設及び視覚障害者が盲導犬と歩くための共同訓練設備(6)実際に盲導犬に触れ合いながら勉強することができる学習・交流スペース――を備え、年間50頭の盲導犬を育成する。施設の建設費には用地取得費を含め5億5000万円が見込まれる。



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