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山梨県甲斐市

概観設計が完成/鎹(鎹)・水晶・聖牛などイメージ/竜王駅舎・南北自由通路

2005/05/10 山梨建設新聞

 甲斐市とJR東日本は9日、合同で会見を開き、竜王駅周辺整備事業のなかで計画するJR竜王駅舎および南北自由通路の外観設計の完成説明を行った。同設計は世界的な建築家の安藤忠雄氏が手掛けるもので、通路の側面等がガラス張りで「鎹(かすがい)」「水晶の結晶」「聖牛」などをイメージした、ユニークなデザインとなっている。今年度中に同実施設計を完成させ、市とJRの施行に係る協定を締結する予定で、年度末の駅舎、自由通路等の工事の着手を目指す。

 甲斐市が重点プロジェクトとして進める竜王駅周辺整備事業は、JR竜王駅の北口開設など駅舎の改築や南北自由通路の整備とあわせて、駅前広場や周辺街路など同駅周辺を新たな都市拠点として整備するもの。8年度から合併前の旧竜王、敷島、双葉の3町により整備構想を策定、12~13年度に橋上駅舎および南北自由通路の概略設計を行ない、15年10月に都市計画決定した。駅舎および南北自由通路の実施設計については、昨年12月に甲斐市がJRと設計協定を締結。同設計はJRが打診していた建築家の安藤忠雄氏が手掛けることになり、外観を含めた実施設計が今年3月までに完成した。安藤忠雄氏は、1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。「住吉の長屋」(大阪)以降、コンクリート打ち放しと幾何学的なフォルムによる独自の表現を確立し数々の賞を受賞、世界的な評価を得る。環境との関わりのなかで新しい建築のあり方を提案しつづけている。駅舎の設計については平成13年に竣工となったユニバーサルシティ駅(大阪府大阪市)を手掛けている。

 新たな駅舎と自由通路は基本コンセプトとして、旧3町をつなぐ「鎹(かすがい)」や、旧敷島町で採取される「水晶の結晶」、釜無川の治水に用いた「聖牛」などのイメージを複合的に表現。南北自由通路は、階段も含め延長約120m、有効幅員約6mで、側面をガラス張りとすることで、富士山、八ケ岳、南アルプスなど360度パノラマで周囲の山並みを眺望できるようにする。自由通路を経由してアプローチする橋上駅舎は、約700~800㎡の規模が計画される。

 なお、竜王駅周辺整備事業では、市の当初予算で今年度事業費23億円余を予算計上。駅舎等の実施設計のほか、駅前広場、街路等の用地買収や一部橋梁下部工、建物の移転補償などを進める予定となっている。



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