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(一社)日本建設機械化協会

課題山積に直球勝負/高まる鉄道工事の重要性/協会専務理事・大貫富夫氏

2005/05/25 本社配信

 日本鉄道建設業協会は今年4月に創立40周年を迎えた。昭和40年の創立以来、新幹線や在来線などの鉄道建設工事を担ってきた。同協会のホームページを見ると、「新世紀の鉄道」と題する項目がある。冒頭にこんな文章がある。「経済情勢の変化とともに、社会環境も多様に変化し、企業、交通機関利用者の輸送システム、交通手段に対する評価と期待もさまざまに変化している」。先月末に開催された同協会の通常総会では山本卓朗会長が「次世代の鉄道を考える上でも、鉄道特異工事と言われる危険で難しい工事は一層重要性を増してくる」と挨拶した。鉄道輸送は自動車交通と比べて交通事故死傷者数が非常に少なく安全性ははるかに高いと言えるが、4月25日に発生したJR西日本福知山線の列車脱線事故のように安全管理体制に問題があると大きな事故を引き起こすことも事実である。

 この4月に同協会の専務理事に就任した大貫富夫氏は「鉄道が好きで」北海道大学の土木工学科に入学した。卒業後に就職した日本鉄道建設公団でも札幌工事事務所長として北海道に赴任した。休日を利用して道内の鉄道めぐりをしたが、「北海道は広くて1日の行程では札幌からなかなか遠方にまで足を延ばせなかった」と語る。

 北海道の鉄道というと、浅田次郎原作の映画「鉄道員(ぽっぽや)」を連想する。北の果ての廃線間近の小さな駅で、生真面目すぎるまっすぐな鉄道員としての人生を誇りをもって生き抜くひとりの男が主人公の映画である。厳寒の雪深い駅のホームに直立不動で立つ高倉健の姿に共感した人も多かったと思う。

 大貫専務の話をうかがっているうちに、「ああ本当に鉄道が好きなんだな」と何度も思った。「好きこそものの上手なれ」ではないが、単に義務的に仕事を処理しているのと、「好き」が心の中心にあって仕事を進めていくのとでは最後には雲泥の差が生じる。

 協会創立40周年の年。鉄道工事の安全管理マニュアルの作成、施工技術の更なる向上、維持管理の問題、鉄道高架橋の耐震補強、発注者と施工者の連携、など課題は山積している。大貫専務の両肩にかかる荷はとてつもなく重いが、「鉄道が好きで、鉄道マンとして人生を送ってきた」ひとりの男として直球勝負で取り組んでいただきたい。栃木県出身。56歳。



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