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埼玉県さいたま市

北区東大成の工場裏踏切400mでオーバーパス/全体事業費34億円を投入

2005/08/22 埼玉建設新聞

 さいたま市建設局は、長時間にわたる踏切遮断などで、「開かずの踏み切り」状態となっている北区東大成1丁目地内の「工場裏踏切立体交差計画」は、年内にも設計に伴う測量業務に着手し、地元の理解が得られれば、年度内に設計業務に入りたい意向を示している。交差方法は、市道10052号線が同踏切をオーバーパスするもので、アプローチ部分を含めた延長は最大で400mが見込まれている。立体交差に合わせて、中山道~工機部前道路間507・5mの拡幅工事も実施する計画で、全体事業費は34億円を見込む。将来は工機部前道路~国道17号間の拡幅が予定されている。

 立体交差計画は、市内に約46か所設置されている踏切のうち、遮断時間が長いなどの理由で渋滞を引き起こす1日の交通量×踏み切り遮断時間が5万台以上または遮断時間が40分以上となっている、いわゆるボトルネック踏切改良計画の一環。

 中山道と国道17号を結ぶ主要幹線道路上にある「工場裏踏切」は、JR川越・高崎両線が通過するため遮断機が開いている時間が短い上、踏切延長も30mと長い。ボトルネックではないものの、市道10052号線は朝夕の通勤時間帯に慢性的な渋滞を引き起こしている。

 また、歩行者の安全が確保されていないほか、市内への移転が決まっている交通博物館への主要アクセス道路にもなることから、さらなる渋滞が懸念されている。

 このため、踏切部を立体交差でパスし、円滑な通過交通の処理と、歩行者の安全確保を図る。

 現在の立体交差計画によると、中山道側の大宮警察署先からアプローチし、JR高崎線軌道部をピークに、緩勾配で線路部をパス。新幹線の橋脚間を抜け、工機部前道路前で現道に取り付く。この間の延長は300~400m程度になるという。

 市道10052号線には、周辺から数多くの道路が接続していることから、側道を設ける。

 事業化に向けて市は、昨年度から地元住民へ説明会を実施。地元らは「渋滞解消には必要な措置」と必要性は認識しており、総論賛成の立場を取っている住民も少なくない。ここにきて、一定の合意形成が図られつつあることから、年内に現況確認と、設計業務の前提となる測量業務を予定。

 対象区間は、中山道~工機部前道路間507・5m。踏切立体交差とともに、現道幅員8mから14mに拡幅する。

 測量結果を基に引き続き実施する設計では、道路部とともに、立体部の構造、橋長などを検討する。ここで拡幅に必要な買収面積を算出。用地測量を経て、取得交渉に臨む。

 事業実施時期は、地元からの賛同が第一としているため、現段階では未定。

 立体交差工事完了後は、工機部前道路から国道17号間の市道1052号線拡幅整備を推進する。

 立体化、拡幅に係わる基本設計業務は、大宮市時代にパシフィックコンサルタンツ(さいたま市、電話048-600-2550)が担当している。

 踏切改良計画ではこのほか、「平方新道踏切」の道路拡幅などに伴う詳細設計業務を復建エンジニヤリング(さいたま市、電話048-882-7035)に委託した。

 西区指扇のJR川越線指扇駅に近い同踏み切りは、県道さいたま鴻巣線上に設置。現況幅員が7mで、歩道一部整備されておらず、歩行者の安全性が確保されていない状況にある。

 当初は、立体化も計画されたが、JRとの協議の結果、車道幅員は現行のままとし、踏切前後区間約200mと、踏切部を拡幅して、幅員3・5mの歩道を整備する方針に決定。

 詳細設計では、交通量調査やJRとの協定書締結のための協議書作成などをまとめ、線形が決定した上で用地買収作業に着手。

 工事は、整備対象全区間の買収が完了した時点で一気に仕上げるため、発注時期は流動的。

 また、北区日進町地内の「上加道踏切」と「上尾街道踏切」についても、拡幅を前提に順次、整備を行っていく考えだ。



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