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国土交通省北陸地方整備局(建設)

コスト縮減率は5・5%/平成16年度実施状況/公共事業コスト構造改革

2005/10/06 新潟建設新聞

 国土交通省北陸地方整備局は、平成16年度における「公共事業コスト構造改革」実施状況を公表した。それによると、平成14年度を基準年とした16年度の総合コスト縮減率は5・5%の低減となった。

 同局では、公共事業すべてのプロセスをコストの観点から見直す「コスト構造改革」の取り組みを適切に評価するため、従来からの工事コストの縮減に加え、規格の見直しによるコストの縮減、事業のスピードアップが図られることによる便益の向上、将来の維持管理費の縮減をも評価する「総合コスト縮減率」を設定。平成15年度から5年間で、平成14年度における標準的な公共事業のコストを基準として15%の総合コスト縮減率を達成することを目標にしている。その結果、平成16年度は5・5%の低減となり、昨年度の縮減率(4・7%)と比較して0・8ポイント上昇した。内容を見ると、新たに計測する効果として「規格の見直しによる工事コストの縮減」と「将来の維持管理経費の縮減」で昨年度より1・3ポイント上昇した。

 今後の方針としては、整備局では今後も引き続き「コスト構造改革」の施策プログラムとして、現行動計画に加え、実施すべき施策をまとめた「国土交通省公共事業コスト構造改革プログラム」によりコスト縮減の推進を図る。同プログラムは、直に実施できる施策だけではなく、検討、試行、関係省庁との調整を行った上で実施に移行する施策も含めた34施策について取り組むこととしている。

 平成16年度のコスト縮減事例は次の通り。

[新粗石コンクリート工法の採用]

 工事名は跡津川下流第2号床固工工事。従来の砂防コンクリート工から新粗石コンクリート工法(流動性の高いコンクリートを使用)を採用。効果は、<1>現場発生土の有効利用が図れる<2>施工性の向上、工期短縮<3>従来工法に比較してコスト縮減―など。工事費の縮減額は540万円(縮減率約7%)となった。

[構造架構を比較検討]

 工事名は新潟税関支署東港出張所建築工事で、従来のラーメン架構からアーチ梁架構を採用。効果は<1>2階部分が1層分のアーチ梁となることから階高を上げずに主体鉄骨重量を軽減できる<2>全てH形鋼、外寸一定寸法H形鋼で組み上げが可能。主体鉄骨工事費1300万円縮減(縮減率22%)。

[セメントによる安定処理工法の採用]

 工事名は、野生ゾーン連絡路新設その3工事で、従来の購入土入替工法からセメントによる安定処理工法を採用。効果は、<1>入れ替えに伴い発生する建設発生土がなくなる<2>現況土壌を利用できるため、工期の短縮が図れる。道路改良工事費を700万円縮減(縮減率約4%)。

[機能分散型支承の採用]

 工事名は、鴨島IC橋上部工事で、一つの支承部に複数の機能を持たせた機能一体型から、各々の機能を分散させゴムを必要最小限にできる機能分散型支承を採用。効果は、機能を分離することにより、ゴムが必要最低限の大きさになり、支承材料費を縮減できる工事費を1400万円縮減(縮減率約38%)。

[エナックスパネル工法の採用]

 工事名は、殿トンネル補修工事で、従来の鋼板厚着工法からエナックスパネル工法(炭素繊維シート複合型パネル)を採用。工場生産された高強度・軽量かつ耐久性が非常にすぐれた補強材であり、施工にあたって熟練技術を要しないことから、<1>交通規制期間の短縮化<2>工事施工コストの削減が可能。工事費は2600万円縮減(縮減率は約42%)

[法面掘削工における無人機械の開発]

 工事名は、浦川渓岸山腹工工事で、高所法面掘削機械(ロッククライミングマシーン)を活用。効果は、<1>無人機械で施工することによる安全性の向上<2>施工性の向上、工期短縮が図れる<3>従来工法に比較しコスト縮減。縮減額は9800万円(縮減率は約23%)。

[硬質地盤クリア工法の採用]

 工事名は、荒川跨線橋下部他工事で、従来の二軸同軸式アースオーガプレボーリング式砂置換工法から硬質地盤クリア工法を採用。効果は、<1>機械・装置のシステム化による合理的な施工による工費削減<2>圧入+オーガ掘削の連動による工期短縮<3>仮設土留工における鋼矢板打込費を500万円縮減(縮減率約40%)。

[後部パラペット型防波堤の採用]

 工事名は、直江津港エネルギー港湾整備事業で、従来の前部パラペット型防波堤から後部パラペット型防波堤を採用。効果は、設計波力の低減により堤体幅等を狭めることが可能となり経済的な防波堤構造となる。縮減額は1億3800万円。

[CCTV一体型カメラによるコスト縮減]

 工事名は、長岡国道管内CCTV設備設置工事・同その2工事で、従来のカメラ、ケース、旋回装置分離型装置整備+鋼管ポール取付から、カメラ、ケース、旋回装置を小型一体化しコンクリートポールで整備する方式を採用。縮減額は1000万円(縮減率約5・8%、1基あたり約200万円の縮減)

[建設発生汚泥再利用]

 事業名は、伏木富山港(新湊地区)道路(東西線)事業で、従来の橋脚基礎工から発生する建設汚泥の廃棄物を、分級することで良質土砂を土工区間へ転用(再利用)。16年度発生汚泥に対して縮減額は1億8600万円(縮減率約3%)。

[長寿命化塗装によるライフサイクルコストの低減]

 工事名は、大町ダム管理設備塗替塗装工事で、寿命の長い塗料(ポリウレタン樹脂塗装)を塗布することにより塗膜の寿命が延び、塗替塗装の間隔を延ばすことが可能。維持管理費が83万7000円縮減

[港湾事業と連携した養浜計画の推進]

 工事名は、ヘッドランドH1養浜その7工事で、従来、養浜に使用する土砂は購入土を使用していたが、港湾事業で発生する浚渫土により養浜を施工。工事費用2900万円縮減(縮減率約30%)

[制水蓋兼用方式の採用]

 工事名は、横川ダム選択取水設備工事で、修理用ゲートが不要な制水蓋兼用方式を採用。工事費は7000万円縮減(縮減率約9%)。

[ボックスベアリング横引き工法の採用]

 工事名は、田切地下横断歩道設置工事で、ボックスカルバートを所定の搬入口より吊り下ろし、ベアリングとレールに沿ってボックスを押し所定の位置へ敷設する工法を採用。効果は、<1>地下内作業のため交通規制短縮<2>大型の建設機械が不要であり、工事費を2600万円縮減(縮減率は約24%)。

[MLT工法の採用]

 工事名は、田切地下横断歩道設置工事で、従来のオーガ工法による施工が困難なため、小さな機械で施工できるMLT工法を採用。効果は、<1>大型な機械が不要<2>特殊スクリューにより孔壁の摩擦力が低下することから、短期間で施工が可能。工事費は2200万円縮減(縮減率は約23%)。

[標識の紫外線による色褪せ対策]

 工事名は、管内標識設置工事で、光触媒防汚フィルムを標識板面の保護シートとして採用。効果としては、20年で3回更新する標識を2回にする効果が期待できる。縮減率は約24%



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