平成17年度卓越した技能者(現代の名工)の厚生労働大臣表彰の受章者がこのほど決まった。全国では150名で、そのうち本県関係では、久下沼文明氏(制御盤組立・調整工)、佐藤三郎氏(手込造型工・鋳込工)など8名が選ばれた。表彰式は、9日午前10時30分から東京都港区元赤坂の明治記念館新館2階で行われる。
この賞は、卓越した技能をもち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰するもの。技能者の地位や技能水準の向上を図り、技能の世界で活躍する職人や技能の世界を目指す若者に夢と希望を与えている技能者を顕彰する制度。
受章者は、全国では150名(推薦者数432名)、そのうち本県関係者は8名(推薦者数17名)。
県では、11月30日に県庁講堂で開催する予定の第35回県職業能力開発促進大会で受章者の業績紹介および記念品贈呈を行う。
なお、茨城県関係の受章者と功績は次のとおり。
〔◆受章者(職種、所属)=功績概要〕
◆久下沼文明氏(制御盤組立・調整工。(株)日立製作所情報・通信グループ情報制御システム事業部、56歳、日立市)
火力・原子力・上下水道用制御装置等の組立、配線、試験作業に卓越した技能を有し、制御装置生産方針を改善して自走台車による流れ組立方式を生み出した。
◆佐藤三郎氏(手込造型工・鋳込工。(有)沢幡製作所、69歳、ひたちなか市)
非鉄合金鋳物の製造に優れた技能を有し、乗用車等の内装シート成形用のアルミ合金鋳物金型の鋳造法の確立や、揚水ポンプの鋳物製造等に創意工夫をこらすなど、作業の効率化や鋳物の品質向上などに貢献した。
◆佐藤孝子氏(和服仕立職。古河和装、64歳、古河市)
着物着付と洋裁の知識・技能に優れ、誰もなしえなかった着物着装時の平面図解を考案し、正確な寸法割り出しを可能とした。また、楽に美しく着ることができるセパレート着物を考案し、着物ブームの一翼を担った。
◆田山公衛氏(金具製造工。メルコジャパン(株)勝田事業所、60歳、鹿嶋市)
金型製作に卓越した技能を有し、これまで不可能であった無人改札機切符出し入れ口のアルミ製品化に成功し、無人改札機の普及に大きく貢献するとともに、東京湾海底トンネル用ゴムパッキング金型等の製作に尽力した。
◆照井守氏(金属特殊加工機工。キヤノン(株)阿見事業所金型技術センター、43歳、土浦市)
金属工作機械の研削盤加工技能に優れ、カメラ・事務機型の小型部品の高精度加工方法および加工条件を確立し、新製品の開発に貢献した。
◆友部紀之氏(配電盤組立・調整工。(株)日立製作所電力グループ日立事業所国分生産本部、58歳、日立市)
保護継電器盤の組立、配線に卓越した技能を有し、信頼性の高い作業法や現地据付技能を確立し、世界最大級の変電所をはじめ、国内外で電力業界の発展に貢献した。
◆畑木富男氏(発電機組立・調整工。(株)日立製作所日立事業所、58歳、日立市)
原子力、火力発電機等の大型回転電気機器の製造に長年従事し、日本の発電設備製造技術を世界一流の水準に高揚させるとともに、多くの巻線電工員を育成した。
◆保坂弘氏(石彫工。保坂石材、65歳、桜川市)
伝統的石燈籠の製造に長年従事し、特に緻密なびしゃん仕上げ作業による勧修寺形石燈籠の細工技能に卓越しているとともに、技能検定制度の普及促進に尽力した。