記事

事業者
茨城県

茨城県「卓越した技能者」知事表彰式を開催

2005/12/09 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は、茨城県の「卓越した技能者」知事表彰式を、このほど開かれた県職業能力開発促進大会で行った。受賞者は25名。この表彰は、本県において「現代の名工」といわれるその道の熟練者で、卓越した技能を通じて本県産業の発展に大きく貢献し、後継者の指導育成に尽力した技能者を称えるもの。

 受賞者と功績は次のとおり。〔◆氏名(職種、勤務先、住所、年齢)。敬称略〕

◆阿久津和次(広告美術工、サン工房、ひたちなか市、57歳)

 屋外広告物製作に従事し、特に粘着シートを用いたデザインやプラスチック仕上げに卓越した技能を有する。また、屋外広告美術コンクールの出展者の指導・育成にあたるとともに、技能検定委員として試験の実施に貢献している。1級広告美術技能士。

◆市川毅(畳工、市川畳店、常陸太田市、46歳)

 畳業に従事し、特に伝統的な二重台・拝敷・台座等の製作に卓越し、弘道館の畳修復工事では抜群の技能を発揮した。また、畳高等職業訓練校の指導員として訓練生を育成し、業界の後継者育成にも貢献している。1級畳製作技能士。

◆市毛孝司(左官、(有)市毛工業、ひたちなか市、64歳)

 長年左官業に従事し、伝統的工法であるなまこ壁漆喰、蛇腹引き等の漆喰工法に卓越するのみならず、現代工法の分野でも技能の研錯を重ねている。連合会理事として業界の発展にも尽力している。1級左官技能士。

◆稲野辺幹雄(木製建具製造工、(株)稲野辺木工所、ひたちなか市、60歳)

 木製建具・家具の製造に長年従事し、天心記念五浦美術館や数々の寺院の施工において、卓越した技能により多大な貢献をしている。また、家具建具商工連合会の専務理事を務め、業界の発展に尽力している。1級木工(建具製作作業)技能士。

◆稲葉健一(石彫工、稲葉石材店、桜川市、55歳)

 伝統的石材工芸品の製作に従事し培った技能を基礎に、石彫関係の文献等の調査研究から、芸術性・優雅さに富んだ石燈籠や宝筐印塔を製作している。また、真壁石燈籠の伝統的工芸品の国指定に尽力し、郷土地場産業界に貢献した。1級石工技能士、伝統工芸士、ものづくリマイスター。

◆伊橋敏夫(造園工、(株)和鹿松園建設、神栖市、65歳)

 造園業に従事し、特に自然石を活かした築庭技術に卓越している。日本庭園の伝統技術の継承に尽力するとともに、長年技能検定委員として試験の実施に貢献している。1級造園技能士。

◆小坂部政一(金属研削工、イガリモールド(株)本社工場、友部町、50歳)

 プラスチック部品製造用の金型製作に長年従事し、特に成形研削盤加工においてはμ単位の超精密加工技能を有するとともに、材料の性質を考慮した加工技術を有する等、製品の品質向上に大きく貢献している。また、多くの成形研削技能者を育成する等、後進指導に貢献している。

◆柏光一(建築塗装工、(株)カシワ、水戸市、52歳)

 建築塗装及び鋼橋塗装の工事施工に長年従事し、特に特殊塗装の第一人者として目され、全国建築塗装技能競技大会では、総合優勝及び部門賞の複数を受賞している。また、首席技能検定委員として、検定試験の運営にも貢献している。1級建築塗装、1級鋼橋塗装技能士、ものづくリマイスター。

◆川島一男(とび工、(有)川島組、土浦市、57歳)

 鳶職に従事し、特に曳家工事の技能に優れており、神社・仏閣等様々な建物の曳家工事を施工している。基礎工事においては本県鳶業界の第一人者であり、鳶業界の要職を歴任し、その発展に尽力している。1級とび技能士、ものづくりマイスター。

◆木野内和夫(配電盤・制御盤組立・調整工、(株)日立製作所情報・通信グループ情報制御システム事業部、那珂市、49歳)

 電力・上下水道等制御装置の組立・配線・板金作業等に従事し、インバータ制御盤の組立、製缶品の溶接に優れた技能を有し、多くの作業改善により、電力の安定供給や鉄鋼の高効率生産に寄与している。文部科学大臣表彰、1級配電盤・制御盤組立技能士、1級電子機器組立技能士。

◆鴻野秀雄(板金工、コウノ板金工業所、49歳)

 金属屋根・金属内外装・神社仏閣屋根工事に従事し、特に銅板加工製作に独自の技術を研究し、積極的に取り組んでいる。板金高等職業訓練校の指導委員として、後進の育成にも貢献。1級内外装板金技能士。

◆小竹正二(金属特殊加工機工、キヤノン(株)阿見事業所金型技術センター、牛久市、55歳)

 金属工作機械の汎用加工に従事し、特に汎用フライス盤加工分野においては、製品の大型化、高精度化に対応した優れた創意工夫を次々と生み出した。また、海外・国内関連会社の金型要員を多数育成した。文部科学大臣表彰、1級フライス盤技能士。

◆酒井信(タービン組立・調整工、(株)日立製作所日立事業所、水戸市、54歳)

 発電機用タービン組立・据付業務に従事し、熱交換器製作技術の開発や超大型タービン組立技術の開発等、多くの考案と改善を加え、信頼性の高いタービン造りに貢献した。また、障害者への技能伝授へも積極的に取り組んだ。科学技術庁長官表彰、特許公開、工師。

◆篠塚進(タイル張工、(有)篠塚タイル、潮来市、65歳)

 美術タイルや壁面等への接着・貼り付けに関する新しい工法の研さんを積み、多くの小・中学校の意匠デザインを手がけている。また、首席技能検定委員や県タイル工業組合理事長を務め、業界の発展にも貢献。1級タイル張り技能士、ものづくリマイスター。

◆杉山英夫(ブロック積工、(有)杉山組、利根町、64歳)

 鳶工事に長年従事しており、特に基礎工事、ブロック工事に卓越した技能を有し、軟弱地盤の改良方法を考案した。また、鳶業界の要職を歴任し、業界の発展に尽力している。1級とび・1級ブロック建築技能士、ものづくりマイスター。

◆鈴木悦男(木彫工、ひたち欅細工菊水工芸、日立市、63歳)

 日立市の欅を使用したお宮・仏像・神棚等を製作する市内で唯一の木彫工であり、金砂大祭礼の木版画や木彫に取り組み、当人の作品は東・西金砂神社に奉納されるとともに、72年度の次回大祭礼へ記録として保護継承されることになった。

◆鈴木邦男(手込造型工、(有)沢幡製作所、ひたちなか市、59歳)

 鋳鉄・鋳鋼及び非鉄合金鋳物と鋳物に幅広く取り組んで得た貴重な知識・技能を有し、特に肉張り方式による大型揚水ポンプ用鋳鉄鋳物の造型技能に優れているとともに、若手の育成にも尽力している。1級鋳鉄鋳物技能士。

◆鈴木弘(製かん工、AE機器エンジニアリング(株)、日立市、59歳)

 送変電機器製品の製缶部品製作に関する技能に卓越し、変圧器部品製作作業改善や大型製缶品の信頼性の高い作業法の確立等、多くの考案・改善に取り組むとともに、技能五輪の指導員として多くのメダリストを育成している。科学技術庁長官表彰、1級鉄工技能士。

◆鈴木稔(理容師、(株)アフィーラ、水戸市、64歳)

 理容技術競技大会における優勝・入賞等、数多い実績を有し、卓越した技能を活かして職業訓練校等で後進技術者の育成に尽力するとともに、かつら・植毛技術の考案・改善により、業界の技能向上に貢献。特許。

◆高田清晴(光学機械器具調整工、(株)日立ハイテクノロジーズナノテクノロジー製品事業本部、ひたちなか市、55歳)

 分光光度計、血液自動分析装置の組立・調整に従事し、光学応用分析装置における高精度の調整技術を確立するとともに、医用製品組立職場のJIT生産方式の組立に大きく貢献している。科学技術庁長官表彰、特許、ものづくりマイスター、工師。

◆田口順子(フラワー装飾師、華の学校、水戸市、48歳)

 フラワー装飾に従事し、特に色彩感が素晴らしいパリスタイルの装飾技能に卓越している。フラワー装飾技能士会の設立に尽力し、また、主席技能検定委員を務めるなど、検定の実施に尽力している。1級フラワー装飾技能士、ものづくりマイスター。

◆常世田正夫(配電・制御装置組立・修理工、住友金属工業(株)鋼板・建材カンパニー、千葉県東庄町、58歳)

 製鋼工場の転炉と連続鋳造機の電気制御設備の保全作業に従事し、電磁ブレーキの異常を常時監視する装置を実用化して電気保全技術の向上に貢献した。また、電気主任技術者の受験指導書を執筆するとともに、講師として後進の指導にもあたっている。特許公開。

◆前田俊郎(特殊産業用機械組立工、(株)日立製作所電気グループ社会システム事業部、友部町、55歳)

 水処理施設の送風機や各種産業用圧縮機の製品組立・据付作業に従事し、特にスクリュウ圧縮機の組立作業の改革、合理化に貢献するとともに、遠心圧縮機のインペラ油圧嵌め装置を考案、実用化している。科学技術庁長官表彰、1級機械組立仕上げ法技能士。

◆益子利(開閉制御機器組立工、(株)日本AEパワーシステムズ国分事業所、日立市、56歳)

 発電所、変電所に納める製品の組立作業に卓越し、特にガス絶縁開閉装置に使用される超精密部品の組立作業に、信頼性の高い作業法を確立した。幾多の考案・改善・安全性の向上に寄与している。文部科学大臣表彰、指導専任職特級。

◆村田博史(宮大工、村田建築、稲敷市、60歳)

 長年建築大工業に従事し、特に神社・仏閣の改修・新築工事に優れた技能を有し、宮大工として高い評価を得るとともに、稲敷地区の連合会、技能士会の要職を務め、業界の発展に貢献。1級建築大工技能士。



紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら