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事業者
(独)雇用能力開発機構

建設業に働く若者からのメッセージ

2005/12/23 日本工業経済新聞(茨城版)

 平成17年度建設雇用改善推進大会が11月に開かれ、快適な職場づくりに向けた取り組みとして、雇用改善に優れた業績を残した事業者や個人が表彰された。この中で建設業に働く若者からのメッセージで、独立行政法人雇用・能力開発機構理事長表彰を受賞した鈴縫工業(株)の金沢克晃さん「未来の建設マンへ」、県建設業協会会長表彰を受けた(株)NIPPOコーポレーションの大幡昌教さん「建設業に従事して」が表彰された。ここではメッセージの内容を紹介する。

  独立行政法人雇用・能力開発機構理事長表彰

 (建設業に働く若者からのメッセージ佳作入賞者表彰)

 鈴縫工業(株) 金沢克晃

 無限の可能性を秘めた学生時代から今、社会人一年生の私は「建設業」いわゆる3K職場、みんなが嫌がる仕事に携わっている。建設業者になろうと考えたのは、生きてきた過程や生まれた場所や育った家庭環境などたくさんの刺激をうけた影響から「多くの人の目にふれて、多くの人が集まり、長い時間そこに建ち続ける建物を創りたい」と思い建設業に決めた。

 建設業といっても色々ある。私は、現場監督の仕事を無我夢中で日々懸命にことに当たっている。現場監督の仕事とは、施工管理で有る。施工管理とは、工程管理・品質管理・安全管理・原価管理という大きな4つの柱を軸に常に幅広い視野をもって物事を考え、現場が円滑に進むよう運営して行かなければならない。また、図面を描きそれをもとに職人さんに指示したり、決められた工期の中で完成するように工程を考えて手配をするということで、やることは多岐にわたり決して楽な仕事ではない。しかし、忙しい中にも常に新しい発見、経験があり、その分充実した日々を送っている。

 建物を作ることは、大きな責任とともに、大きなやりがいがある。例えば同じ建物を造るにしても、立地条件、周囲の環境、季節、工期、携わる職人によって、状況が大きく変わってくるので、綿密な計画、段取り、打合せ、指示、確認が非常に重要になる。自分の判断のひとつひとつが現場の施工状況に影響を与え、その結果としての建物の出来映えが良くも悪くもなるので、経験、知識を活かし、知恵を絞って日々の業務に当たらなければならない。もちろん現場では自分一人の力だけではなく、職人さんともコミュニケーションを図りつつ多くの人々の力を結集し、工事を完成させなければならない。それをひとつひとつクリアして、建物が完成し街の一風景として多くの人々の住環境を造り出す。そして、建物が完成した時の充実感はさることながら、住む人に喜んでもらえるということは、言葉にできない程嬉しいものに違いない。そういった意味で仕事のやりがいも大きいと感じている。

 建築というのは、大学、あるいは大学院まで勉強を修めたとしても実務のフィールドに放り込まれ、いきなり役に立つのかといえばそうではない。大学院を出ても高校を出ても、建物を建てるというのは、現実の場では、ゼロからスタートすると思ったほうがいい。建築を学ぶことは、学校で習うような技術的なことから、建物を建てたいと思っているクライアントの思いを理解してあげることまで、すなわち技術から人間的な側面まで本当に幅広い領域を学ぶことである。

 建設業に限らず仕事は楽しいばかりではない、むしろ失敗、苦労、忍耐の連続である。それをひとつひとつ乗り越えていくうちに、ふと振り返ると、ひとまわりもふたまわりも大きくなった自分を実感できると思う。それが明日への“自信”につながっていき自分の未来の可能性を無限のものへとしてくれるだろうと考えている。

 就職先を決めるということは、自分の将来を左右する大きな岐路であるが、無限の可能性を秘めた今、これから社会人としての未来に向け仕事というよりも自分のやりたいことを素直に実行でき、未来の自分の夢のために日々生きていることを実感できるものを見つけてもらいたい。そして、すべてのことに責任を持ち覚悟して、腹をくくって最善を尽くして楽しい人生を送ってもらいたい。

  建設業に従事して

 (株)NIPPOコーポレーション

 杉崎改良舗装工事事務所

 大幡昌教

 私は、小学校に入る以前から建設業に興味を持っていました。というのも、実家が材木商を営んでおり、小さい頃は父や祖父に建設現場に材木の配達に連れて行ってもらっていました。そこで働いている職人さん達を、とてもかっこよく思い眺めていたことを覚えています。その頃の遊びといえば、製材して余った木材と、のこぎりやカナヅチを使い職人さんの真似事をすることが楽しくてしょうがなかったです。今思うとその頃からモノをつくる建設業に興味を持っていました。

 建設業に興味を持ちつつ、いよいよ高校3年、大学の進路を本格的に考える時期になっていました。その頃までは、漠然と建設業としか考えておらず、建築と土木とでかなり悩みました。両親、親友、先生などに相談をし、よりダイナミックなモノも造れる土木に進路を決めました。大学では、橋やダム、都市計画や景観などスケールの大きな勉強ができ、とても充実した大学生活でした。

 充実した大学生活は短いもので、3年生になり就職を考える時期。実際そのころの私は、これからどんどん衰退していくであろう建設業に、就職して本当に大丈夫なのだろうか心配でした。そんな心配を吹き飛ばしてくれたのが、大手ゼネコンに就職をし、現場監督をやっている少し歳の離れた従兄でした。従兄にお願いをし、大学の友人数人で、現場を見学させてもらいました。その現場は新幹線の駅の新築工事で、まず想像していた以上にスケールが大きく驚かされました。次に現場にはいって驚いたこと、現場がとてもきれいで整理されていたことです。それまでの私の考えでは、建設現場はいわゆる3K(きつい、汚い、危険)というように乱雑に資材が置かれているイメージでした。それが隅々まで整埋がなされており、3Kのイメージとは結びつきませんでした。こんなに整然とし、整理がいきとどいた現場があるのだから、建設業が衰退していくはずがない。衰退したとしても、こんなきれいな現場があるのだから、いつかは見直され、盛り返してくれるだろうと思い、建設業に就職することを決めました。

 大学の教授からのすすめもあり、今の会社に就職することを決めました。入社をし、研修を経て、いよいよ現場にでました。1年目ということもあり、初めのうちはスコップやほうきを一日中もって必死に作業をする毎日でした。それまでは、第3者的な考えでしか現場が見えていませんでしたが、実際作業をしてみて始めて分かることがほとんどで、一日一日がとても早く感じました。

 振り返ってみると、もう1年3か月が過ぎようとしています。その間、多くのことを学び、また失敗もたくさんした。しかしその失敗が、私に勉強をさせてくれ、仕事の糧になっていることは間違いありません。成功より失敗したときのほうが、より多くのことを学んでいる。土木は経験工学と言われるように、今はできる限りの経験をつみ、次の仕事につながるように日々努力している。今まで勉強になった中で、重要であると感じることに、人間関係があります。現場に1度しか来ない人もいれば、毎日来る人もいます。そんなたくさんの人の中で良好な人間関係を築くことができれば、何でも言い合える働きやすい現場になり、結果的に事故の発生を防止したり、出来映えの仕上がりが良くなったりしてくると思います。こういった、作業とは直接関係のないところでの気配りが、実は現場にはとても重要なことで、なくてはならないものだと思います。実際、一人ではできないことでも、周りの協力があればけしてできないことはなく、逆にたった一人でもかけてしまうと仕事の工程に支障をきたしてしまうと思います。現場は、たくさんの人々の個々の能力が集結してできており、自分もその能力の一つとして、責任をはたさなければという意識が高まります。そして、協力してくれた方々に対して感謝の気持ちを持つことができるのです。

 最後になりましたが、現在も建設業を取り巻く環境は非常に厳しく、衰退していると思います。しかし、将来、建設業を背負い、支えていくのは私たち建設業に就く若者であります。経験不足、勉強不足でまだまだ未熟な部分は多くありますが、人の役に立つものづくりを目標に、責任感を持ち、これからもがんばっていこうと思います。



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