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2月にシミュレーション/適切な与信枠を検討/入札ボンド導入へ

2006/01/31 本社配信

 国土交通省は「質の高い競争環境」を整備するために入札ボンドを考えており、導入に向けて2月、シミュレーションを実施する。30日に行われた中央建設業審議会第3回ワーキンググループにおいて、同省総合政策局の大森雅夫官房審議官(建設産業担当)の発言で明らかになった。大森審議官は「入札ボンドは与信枠の設定の仕方によって、不良不適格業者排除のバランスが変わってくる。そのあたりについてシミュレーションをやらせていただきたい」と述べている。結果は2月28日に予定されている次回ワーキンググループで、報告する見通しだ。

 国土交通省は品質確保や談合防止の観点から、今後ますます一般競争入札と総合評価方式の拡大を図ることとしている。その際、一般競争では不良不適格業者の参入や経営力に比べ過度な入札参加の増大が、総合評価では技術提案を審査する発注者負担の増大が、懸念されている。

 同省では入札ボンドを導入した場合、財務内容が不振で金融機関の与信の対象とならない企業、経営の規模や内容に比べ過度な受注をしようとするため金融機関の与信枠をオーバーする企業などを、排除できると想定している。

 また受注者側にも「発注者と受注者という二者関係ではなく、これからは市場原理を取り入れるべき」との声があり、現在、受発注者ともに入札ボンド導入への気運が高まりつつある。

 同省はワーキンググループで、現在考えられている入札ボンドのイメージを提示した。それによると、「発注者が入札参加条件として求める履行保証の予約機能を有するもの」と位置付け、金融機関などが建設業者の財務的な履行能力を審査し、信用を与える(与信)。金融機関などが履行保証を付する意思を確認できる証書を入札ボンドとして取り扱い、発行時期については、競争参加資格確認資料などの提出時とする。対象工事は、一般競争入札。

 導入に際しては、与信枠を適切に設定する必要があり、その「さじ加減」により入札参加者の絞り込みの度合いも変わってくることから、複数のパターンでシミュレーションを実施する。

 また、「企業にとって入札ボンド取得が過度な負担にならないようにすべき」「与信枠の制約により、必要以上に参加が制限されることにないようにすべき」などの声が挙げられている。

 委員からは、「ボンドという名前はわかりにくい。業界の外に向け、わかりやすくすべきでは」との声もあった。



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