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(一社)日本建築学会

日本建築学会大賞は青木氏・青山氏/茅野市民館が作品賞

2007/04/12 本社配信

 日本建築学会(村上周三会長)が、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に著しく貢献した会員に贈る学会各賞を発表した。大賞は青木正夫氏(九州大学名誉教授・㈱メイ建築研究所最高顧問)と、青山博之氏(東京大学名誉教授)に贈られた。学会賞作品部門は古谷誠章氏(NASCA代表・早稲田大学教授)の『茅野市民館』に決定した。大賞、学会賞(論文、作品、技術、業績)、教育賞、作品選奨および会員外を対象とする文化賞の表彰式は5月30日の学会総会において行なう。奨励賞は8月29日を予定している。

 村上会長は学会賞の発表会見で「『評価機能』は学会における重要な機能の一つである。透明性をもって公平に評価して、社会に示すものであり、厳正に評価した」と述べている。

 日本建築学会大賞を受賞した青木氏は、建築計画学の理論的体系化と東アジア地域の学術交流の発展に尽くした功績が讃えられ。また同じく大賞の青山氏は、鉄筋コンクリート構造の耐震性の高度化に関する一連の研究と国際技術交流に関する貢献が認められた。

 作品部門における今回の審査対象は34件。書類審査・現地審査を経て、古谷誠章氏(NASCA代表・早稲田大学教授)による『茅野市民館』に決定した。作品は、「公共複合施設を駅と直接結び、一体感と変化のある空間に、市民の居場所、活動の広がり、人の景を創り出したこと」が評価された。また精力的な市民参加のプロセスを重ねて実現した点が高く評価された。

 論文部門では、石川廣三氏(東海大学教授)の『建築物の雨仕舞に関する一連の研究』など計10件が受賞した。

 技術部門は、免震に浮力を使うアイデアをパーシャルフロートという形で実用化した大山巧氏(清水建設㈱技術研究所流体解析グループ長)らによる『浮力を利用した免震廣造システムの開発と実現』など計3件が受賞した。

 業績部門は、小林秀樹氏(千葉大学教授)らによる『スケルトン定借の実践を通した建築計画と不動産制度の連携』など計4件が受賞した。小林氏らの業績は、スケルトン・インフィル技術の思想と定期借地権による不動産制度を連携させることで100年住宅の開発・実用化を成功させたことが認められた。

 教育賞は柴田拓二氏(北海道大学・北海道工業大学名誉教授)による建築教育ならびに工学教育の国際化に関する業績など計7件。

 奨励賞は伊藤一秀氏(九州大学准教授)の論文『ガラス製境界層型テストチャンバーの開発とMass Accommodation Coefficient の推定』など15件が受賞。

 会員外に贈る文化賞は、木下孝一氏(数寄屋研究所心傳庵棟梁)ら3人。木下氏は現代的数奇屋建築の創作と伝統木造の防火・耐震性能の再評価に向けた民主体の取り組みを主導した功績が評価された。


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