南房総国定公園に関する公園事業がこのほど決定し、27日付の県報に告示された。決定した事業は、名称が「アマン・ウミ ホテル」、種類が宿舎、位置がいすみ市(岩船)。区域面積は11.2haで、最大宿泊者数88人/日のホテルを新築する。事業者は㈱ミッドリーム(いすみ市大原8790)。
事業計画地はいすみ市大字岩船字太夫ヶ谷、字駒寄場、字南鍔ノ木、字北鍔ノ木の面積11.2ha。建設を予定する宿泊施設は個別宿泊棟38棟+付帯施設。土地の形状変更は11.2haのうち3.3ha。
工事は3期に分けて実施。1期では宿泊センター棟、プール棟、カートステーション、個別宿泊棟(2人用25棟)、テニスコートを建設する。1-3期を合わせた個別宿泊棟の合計は38棟で延べ8243㎡。
以下、事業の概要は次の通り。
【事業目的】
本事業の計画地は当初、千葉県観光公社がリゾート施設用地として土地を取得し、その後、事業主体である㈱ミッドリームの前身である外房エンタープライズ株式会社が譲りうけ、89年に策定されたリゾート法に基づく千葉県房総リゾート地域整備構想(御宿、岬、大原地区「海浜スポーツリゾート」)をうけて開発区域面積約130haにゴルフ場及び宿泊施設等のリゾート施設建設を目的として進められたものであり、95年に環境影響評価を実施し、96年に都市計画法開発許可等の許認可を取得、首都圏の増大する観光・レクリエーション需要を充足するための施設の一部として貢献する予定であった。しかし、許可取得後、地元漁協をはじめとするゴルフ場開発への反対により、ゴルフ場事業を中止せざるを得ない状況となり、宿泊リゾート施設ともに事業を中断し現在に至っている。
本事業は、計画地が有する房総半島でも他に類を見ない豊かな自然こそ、次代に継承されるべき最大の財産と位置づけ、その保全を最優先の課題とし、この素晴らしい自然遺産そのものが、人々を癒す糧として最大限機能することができるよう立案されたものである。
以上を踏まえ、本事業の目的を原点に立ち返って検討した結果、地域住民の反対の要因であったゴルフ場の建設を取りやめ、宿泊施設及び附帯施設の建設にのみ特化することとし、また、開発区域を可能な限り縮小させるだけでなく、現況の自然、地形をそのまま生かした“環境共生型のモデル”として、豊かな自然に囲まれた閑静な宿泊空間と質の高いサービスを提供できる宿泊施設を建設することとした。
【施設概要】
▽宿泊施設は、各客室が各々独立した宿泊棟で計画する。
▽各個別宿泊棟は、主に稜線に近い斜面地への配置、各宿泊棟の建築にあたっては、樹木の伐採、地盤の改変を最小限におさえ、既存樹木等の保全を図る。各宿泊棟間は、十分な距離を設けて、豊かな自然に囲まれた閑静な宿泊環境を提供できる計画とする。
▽自然公園区域内への環境への影響を小さくするため、自然公園地域への入り口にあたる場所のカートステーションを設けて、乗用車よりカートに乗り換え、場内を移動する計画とする。また、各個別宿泊棟に対するサービスは、乗用カートにより行う予定である。
▽自然公園地域界に沿ってある進入路より宿泊棟等の施設を結ぶ通路(3m幅)は、消防上必要な部分を除き工事完了後は、カート通行に最小限の幅員2mとする。
▽個別宿泊棟は段階的な建設を予定している。
▽駐車場は、自然公園地域外の既に県の観光公社が造成した通路に縦列駐車で計画する。
■施設概要(▽施設=①棟数②延床面積(㎡)③建築面積(㎡)④備考)
〔1期〕
▽宿泊センター棟=①1②1154③818④2階、RC一部S造⑤ラウンジ、ダイニング、バー、事務室、倉庫等
▽プール棟=①1②961③800④2階、RC一部S造(温水プール、ジム、リラックススペース)
▽カートステーション=①1②824③770④平屋、RC造(受付、ラウンジ、カート車庫、従業員スペース等)
▽個別宿泊棟(2人用)1=①25②122(1棟)、計3050③154(1棟)、計3850④平屋、S造(宿泊人数2×25=50人)
▽テニスコート=1面
〔2期〕
▽個別宿泊棟(4人用)2=①6②193(1棟)、計1158③230(1棟)、計1380④平屋、S造(宿泊人数4×6=24人、公園事業外9棟=36人)
▽レストラン棟=①1②216③246④平屋、RC一部S造
▽休憩所=①1②26③44④平屋、S造
〔3期〕
▽個別宿泊棟(2人用)3=①7②122(1棟)、計854③154(1棟)、計1078④平屋、RC一部S造(宿泊人数2×7=14人)
〔合計〕
▼個別宿泊棟)=①38②8243③8986④宿泊人数88人(公園事業外36人)従業員40名(予定)