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千葉県印西市

印西小林地区活性化計画で素/印西市 小林駅舎橋上化や南口駅前広場整備など

2008/02/06 日刊建設タイムズ

 印西市は、小林地区の生活の利便性の向上と地域経済・社会の活性化を図るため、同地区の将来像を示すとともに、その実現に向けたまちづくりの方針を明らかにする「小林地区活性化計画」(素案)を作成した。現在、3月1日を公募期間にパブリックコメントを実施している。

 小林地区は、JR成田線の小林駅を中心に、民間開発による住宅団地が立地するとともに、その周囲の市街化調整区域には田園景観が広がるほか、県の鳥獣保護区があるなど、駅を中心とした都市空間とその周辺に広がる自然空間とがコンパクトにまとまった市街地を形成。

 市の上位計画(将来像)では「地域副次核」として位置づけられ、「良質な住宅環境、生活拠点形成を主体とした田園型市街地ゾーンの副次核を形成する」としているが、全国的な傾向と同様に少子・高齢化が進展するほか、①小林駅周辺の商業施設でのにぎわいの低下②小林駅(橋上駅舎、南口駅前広場等)の改修③田園環境と調和した土地利用の推進――などの問題や課題がある。

 特に、地区住民の多くが利用する小林駅は、駅舎がバリアフリーに対応していないことをはじめ、改札が南口にしかない、南口駅前広場が未整備などから、早急に駅舎及び駅前広場等の整備が必要な状況にあるという。

 同活性化計画の策定は、これらの状況を踏まえ、都市基盤等のハード整備などにより、田園型市街地としてのまちの魅力向上を図るとともに、住民自らが活発に活動できるようなソフト施策をハード整備と一体的に実施する、より具体的な活性化計画を策定し、小林地区の生活の利便性の向上と地域経済・社会の活性化を図ることを目的としたもの。

 計画の目標年次は概ね10年を目安とし、社会経済情勢や市民ニーズの変化等により計画を変更する必要が生じた場合には、見直しを行うという。

 以下、「小林地区活性化計画」(素案)の概要は次の通り。

 【小林地区活性化計画の目標】(全体目標)

 『古さと新しさがいきいきと交わるのどかな田園のまちを実現』

 ○安全で快適な暮らしやすい駅周辺の都市空間の創造

 ○身近で愉しい谷津・里山の自然空間の創造

 ○小林住民が自発的に活動できるコミュニティ空間の創造

 【活性化に向けた課題】

 (1)道路整備

 ▽歩道の整備(街灯、街路樹、植栽帯、バリアフリー、自転車レーン等)

 ▽交通渋滞の改善(駅前等)

 ▽南北の道路網の整備

 (2)交通手段の改善

 ▽バス(ふれあいバス)・電車の改善(増便等)

 ▽ニュータウン地区への交通アクセスの改善

 (3)公共・公益施設の整備・改善

 ▽駅、駅前広場(小林駅):駅舎・駅前広場の整備(自由通路、トイレ、南口ロータリー、昇降施設等)

 ▽公園の改善(浅間山公園、大門下調整池、稲荷谷公園、城山公園等):公園の改善(植栽拡充、休憩施設、散策路、管理の改善等)

 (4)商業の活性化

 ▽コスモプラザ、南口商店街の活性化(空き店舗活用、商店の拡充等)

 (5)地域コミュニティの活性化

 ▽交流の場の確保(コミュニティセンター等でのイベント・活動等)

 ▽多世代交流、団体間のつながり、モラル向上等

 (6)まちの環境・自然・資源などに関する問題の改善

 ▽まちの資源の有効活用:谷津沿いのきれいな田園風景の保存、希少生物の保全(タナゴ、ホタルなど)、里山での竹林の整備・管理、小林牧場・道作古墳群等の活用

 ▽福祉サービスの拡充:バリアフリー、託児所、介護サポート等

 【基本的な方針】

 ○新旧住民が融和するまち

 ▽子どもから高齢者までの多世代が気楽に集まり賑わえる場所(商店街など)と機会と雰囲気がある。また、それを支える組織がある。

 ▽バスや車でニュータウン地区へ気軽に行くことができる。

 ▽通勤・通学者、子ども、子育てママ、高齢者、障害者などがアクティブに活動できる利便性と快適性がある。

 ○自然と共生する田園型まち

 ▽公園で遊ぶ・自然と触れ合う・買い物に行く等のために、安全な歩道や遊歩道がある。

 ▽子どもが元気に明るくあいさつができる場所と雰囲気を有し、安全で安心に暮らせる。

 ▽里山(谷津)や古墳・神社などが有する自然や田園風景と触れ合いながら遊べる環境がある。

 ▽浅間山公園や大門下調整池、小林牧場、道作古墳群などの既存公園・環境の個性を活かした利用(散策・休憩・

遊びなど)ができる。

 ▽防災時の対応が可能な広い広場では、気兼ねなくスポーツが楽しめる。

 ○高齢化に対応するまち

 ▽駅南北に自家用車が送迎のために活用できる駅前広場や段差のない歩道があり、駅前広場・駅舎・バス停など公共交通を利用する施設では、バリアフリー対応。また、駅前は利便性や快適性に優れた環境となっている。

 ▽高齢者が楽しみ・くつろげる場所がある。

 ○情報化社会に対応するまち

 ▽地区内情報・生活情報などを、地区の玄関口となる駅前や自宅で得ることができ、便利に生活できる。

 【実現方策】(整備・改善事項等)

 (1)駅舎・駅前広場

 ①橋上駅舎の整備

 ②南口駅前広場の整備

 ③自由通路の整備

 ④駅前駐輪場の利便性・快適性の向上

 ⑤北口駅前広場の利便性・快適性の向上

 ⑥駅舎での移動サポート体制の充実

 ⑦駅前への飲食施設の立地誘導

 (2)道路・交通

 ①県道印西・印旛線の歩道整備

 ②街路灯の整備

 ③バス停の上屋の整備

 ④印西牧の原方面への道路整備

 ⑤団地内の路上駐車対策

 ⑥バスの運行改善

 (3)商業・観光

 ①朝市・パラソルショップ(小林ブランド化)

 ②地場産品・地域商業のPR

 ③賑わいのある商環境づくり

 ④組織の統合化

 ⑤商店街のバリアフリー化

 ⑥子育て主婦が買い物しやすい環境づくり

 ⑦銀行ATMの集約化

 (4)環境・自然・公園・歴史

 ①里山整備による自然環境保全活用の推進

 ②既存公園の利便性の向上及び効果的な維持管理の実施

 ③自然・歴史を活かしたまちづくり

 (5)福祉・コミュニティ・教育

 ①救急コールセンター活用の周知徹底

 ②防犯活動の実施

 ③コミュニケーション活動の活性化

 ④子供が安心して遊べる場所の創出

 ⑤図書館の開館時間の延長

 ⑥まちの美化・清掃の充実

            (つづく)

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