国土交通省は今年度、地方公共団体との工事成績共有化に向けた検討を加速する。当面は同省と同様の評定要領を採用している46道府県、13政令指定都市での共有化を目指す。また市町村に対しては、既に作成している小規模工事成績評定要領の普及を図る。直轄工事では今年度中に、コリンズ登録内容へ新たに工事成績を追加する。
同省は、ひとつの成績評定点が複数の発注者で共通利用されることになれば、工事成績の重みが増加するとみている。それによって企業の工事品質に対する努力も期待でき、最終的には国内の公共工事品質確保に向けた好循環構築へつながると期待している。さらに、直轄や都道府県の工事成績評定を市町村が活用できる環境を整えることが、総合評価拡大の動機になるとみている。
同省の調べによると工事成績は、47都道府県すべてで実施しており、東京都を除く46団体は、同省の評定に準拠している。政令指定都市は回答のあった13市すべてで実施しており、同省の評定に準拠。
市町村については回答のあった1792市町村中、1152団体で実施している(実施率64・3%)。このうち、609市町村が同省評定(小規模版含む)に準拠している(準拠率52・9%)。
工事成績は従来、毎年1回行われる優良工事表彰の指標といった感があった。しかし一般競争が急速に拡大している昨今では、良質な施工を行える会社かどうかを見定める“ものさし”として、重要度が格段に上がっている。各発注者間での共有化によって今後、入札公告における競争参加資格要件や総合評価での加算といった活用が一層進むものとみられる。
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コリンズ
(財)日本建設情報総合センター(JACIC:ジャシック)が構築している工事実績情報のデータベース。各発注機関への情報提供が行われている(有料)。