「中堅・中小企業の生き残り戦略、一般論で言われてるところからもう一歩突っ込めないか」と語るのは東京空気調和衛生工事業協会の今月の定時総会で新会長に選出された是常博(これつね・ひろし)氏(㈱三冷社社長)。是常新会長は同協会の9代目会長。「今までの会長さんと少し異質な会長ではないか」と自己分析。なぜかと問えば「協会をめぐる環境が激変している。従来は会員の役に立つ協会で目的を達したが、現在は一般消費者と国民が求めているものと協会の求めているものが一致しないといけない」という答えが返ってきた。公益法人改革など協会運営がさらに難しさを増している現在、その舵取りには確固たる信念を持って突き進む決断力が要求されるのだろう。
ここにきて全国あちこちの自治体で導入が本格化し始めている総合評価入札方式。最近、国土交通省などが主催で同方式に関するシンポジウムが都内で開催された。「地方に総合評価方式を広める意図で開催されたのだろうが、今ごろか、という感が深い。不調、不落などさまざまな問題がひそんでいる入札方式で、次のアイデアが出てこない。堂々めぐりが続いている」と混迷の入札制度にもひと言。
同協会をはじめ、設備工事業界では直接発注、いわゆる「分離発注の推進」が最重要項目のひとつになっている。「何でもかでも分離発注ということではない。ゼネコンがノウハウを持っていない分野の分離発注はぜひとも必要である。特に、環境問題に関連する工事ではなおさらだ。その意味で得意分野を持っている中堅・中小の設備工事会社の生き残る道は必ずある」と地球環境問題に一家言を持つ是常会長ならではの発言。
昭和50年に米国アイオワ州のドレイク大学経営学部を卒業した。選定理由は「日本人のいない大学」で、20校ほど該当する大学があったが、願書を出して最初に入学許可が届いたので入学したという。是常氏の英語習得への決意が感じられるエピソードである。その決意にたがわず「一生で一番勉強した」とのこと。勉強と並行して夏休みなど北米大陸の大旅行も敢行したそうで、是常版「放浪記」も機会があったらお聞きしたいものだ。
【写真=インタビューに答える是常博新会長】