「自分で行った善も悪も、いずれ我が身に返ってくる」「建設産業は、技術能力が問われる競争の時代に突入している」
来る6月1日、地場産業に軸足を置き、総合建設業を営む㈱黒澤組(小海町)の4代目社長に就任する黒澤和彦氏。大学卒業後、大手ゼネコンでいくつかの大規模工事に従事したのち、同社の現場代理人として技術の研鑽に日々を重ねてきた。
建設産業悪玉論が展開され、指名競争から一般競争へ、さらに総合評価導入と業界は急速に、そして著しく狭き門へと変化していく。そのなか、氏は「年々必要条件が変わって来たに係らず、態勢がそのままの会社は生き残れない」とし、「自分だけ良ければという考えは落ちぶれていく」と語る。「より高度な技術力と提案力が顧客・発注者に評価され、企業努力で利益を出せる会社が焦点」になるという。
総合評価は「努力している企業にとっては、働きがいと自己成長をスパイラルに高めていくことであり、企業努力の目標・目安にもなる」との解釈を示し、世間の風評や制度改革に動じない姿勢は、技術者としての誇りで裏打ちされているように思える。県の優良技術者や国土交通省優良工事など、過去の数知れない受賞歴にも見られる高い評価も、自信の背景に垣間見られる。
「物をつくり、ユーザーに喜ばれたときは感動もの。次へのステップになる」と笑顔で話す瞳には輝きが絶えない。つまずいたときは「我が足元を見つめ直して、何が悪いかを模索する」と話す。
社長就任を前に、「今日まで会社があるのは先祖代々が築き上げてきた基盤があるからこそ」と足跡を見つめ直し、「働いている社員とその家族の幸せが一番」と前を見据える。今後も相変わらず「現場に行きながら職務を全うしたい」と現場主義のモットーは貫く考え。
今日より明日、今年より来年。将来に向かい磨き続けることが企業の成長につながるに違いない。
黒澤和彦(くろさわかずひこ) 昭和42年生まれ、妻と子供2人の4人暮らし。休日は子供と野球に興じ、早起き野球のメンバーでもあるスポーツマン。