東京商工リサーチ前橋支店は、5月度の県内企業倒産整理状況をまとめた。それによると、倒産した企業は16件で、負債総額は67億3200万円となった。件数は前月から45・5%増加し、負債総額も291・2%増加した。また、前年同月比でみても件数が14・3%増、負債総額が184・9%増といずれも増加している。特に山内工業とその関連3社を含むグループで負債総額30億円の大型倒産があり、全体の負債を押し上げる形となった。
負債総額が最も大きかったのは5月29日に破産手続開始決定を受けた山内工業の約15億円で、その関連企業の沼田砕石が約6億円、山内産業が約6億円、上越生コンクリートが約3億円でグループで計30億円となった。山内工業は、大正11年創業の北部地区では有数の総合建築業者。1990年のピーク時には売上高約75億円弱まで達したが、その後の建設不況や公共事業削減から減収を余儀なくされた。また、同グループ以外でも私的整理にメドのついた大久保組や尚和工業の5億円以上の中型倒産が目立った。
原因別では、不況型倒産が件数で68・8%と高水準の6割を超えた。そのほか他社倒産の余波が25%を占めた。
5月倒産状況をみると、倒産動向に影響が大きい建設業の倒産が構成比で50%となり、再び増勢の兆しがみられた。改正建築基準法の影響を引きずり物件の減少に加え、受注単価の下落や鋼材・建設資材の値上がりで収益悪化に拍車がかかっている。このような状況が続く中、小規模企業やいまだに過大債務を抱えている企業の倒産増が懸念される。群馬県内の企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、再び「倒産の地域格差」の拡大が指摘される中、零細企業が件数を下支えする形で推移し、中堅クラスの倒産を加えながら、依然として増加傾向をたどるものとみられる。