県消防指令業務共同運用推進協議会(県総務部消防地震防災課)は18日、119番通報について、県内を2ブロックに分け、ブロックごとに共同指令センターを置くことを柱にした整備基本計画を策定した。各消防本部(局)の相互応援の迅速化や経費節減を狙う。2013年度中の運用を目指す。
基本計画によると、県内のエリアを、千葉市と印西地区などを含む「北東部・南部ブロック」(20消防本部)と、東葛地区を中心にした「北西部ブロック」(11消防本部)に分ける。北東部・南部ブロックでは、千葉市消防局に最新のシステムを導入した共同指令センターを設置。北西部ブロックは松戸市消防局に既存の指令システムを改修した指令センターを設置する。
整備費は、北東部・南部ブロックで約46億円、北西部ブロックで約19億円。ともに各消防本部が単独でシステムを整備するよりも経費が節減できる。人員も両ブロックで削減が見込めるという。
以下、基本計画の概要は次の通り。
【消防指令業務共同化の範囲】
消防指令業務の共同化とは、複数の消防本部における消防指令業務を1か所の指令センターで共同運用するものであり、運用方法が決定されるまでの間、本計画における消防指令業務の共同化の範囲については、「すべての部隊運用管理を共同で行うが、各消防本部においても部隊運用管理を行えるようにするため、各本部に指令情報共有システムを整備する方式」により整備に当たっての検討を進めることとする。
【本計画策定の前提条件】
▽小規模消防本部でも住民ニーズの変化に幅広く対応できること▽各ブロック内すべての構成消防本部において行財政上の効果が期待できること▽消防指令業務の共同運用に際し、消防救急無線の県域整備スケジュールを見据えた計画となっていること▽共同整備システムは異なる部隊運用計画に対し柔軟に適応できるものとすること。
【北東部・南部ブロック】
▽事務局=千葉市消防局
▽構成消防本部=20消防本部
▽設置場所=千葉市消防局
▽共同運用開始時期=2013年度(20消防本部)
▽整備スケジュール=08年度:基本計画、09年度:基本設計、10年度:実施設計、11年度:工事、12年度:工事・試験、13年度:共同指令センター運用開始
▽整備方式(整備主体)=協議会方式(千葉市消防局)
▽整備方法=買い取り(300万人規模)
▽整備費用=約46億円(300万人規模)
▽整備費用負担割合=①個別整備部分(約32億円):各消防本部が署や車両台数に応じ個別に整備②共同整備部分(約14億円):20本部「消防庁モデル90%+人口割10%」で合意。
▽管理運営方式=今後ブロック内で協議検討する。
▽システム整備後の運用経費の按分=人口割によることを基本として、今後検討する。
▽共同整備による効果=①各本部が単独整備した場合:費用は20本部合わせて約61.2億円、人員は20本部合わせて229人(現在)②共同で整備(運用)した場合:費用は20本部合わせて約45.8億円、人員は20本部合わせて70人程度
【北西部ブロック】
▽事務局=松戸市消防局
▽構成消防本部=11消防本部
▽設置場所=松戸市消防局
▽共同運用開始時期=2013年度(6消防本部):第1期整備(松戸市・市川市・流山市・野田市・鎌ヶ谷市・浦安市)、20年度(11消防本部):第2期整備(松戸市・市川市・流山市・野田市・鎌ヶ谷市・浦安市・船橋市・柏市・我孫子市・八千代市・習志野市)。20年度の第2期整備については、13年度にスタートする共同指令センターのシステムにとらわれずに、人口規模300万人に対応できる新規の指令システムの構築を図るため、整備スケジュール・概算費用・負担割合・業務範囲等の検討を13年度以降に11消防本部で調査研究を進める。
▽整備スケジュール=08年度:基本計画、09年度:機器の検証・業務範囲等の検討、10年度:松戸市既存機器リプレース、11年度:協議会設置、12年度:工事(各消防本部プログラム作成)、13年度:共同指令センター運用開始
▽整備方式(整備主体)=協議会方式(松戸市消防局)
▽整備方法=松戸市既存の指令システムのリプレース方式(150万人規模)
▽整備費用=約19億円(150万人規模)
▽整備費用負担割合=①個別整備部分(約12億円):各消防本部が署や車両台数に応じ個別に整備②共同整備部分(約7億円):6本部「人口割10%」で合意(新規にシステム構築を行わず、松戸市既存システムをリプレースする整備を行う。その経費は維持管理的な性質を有するため)
▽管理運営方式=協議会方式
▽システム整備後の運用経費の按分=人口割によることを基本として、今後検討する。
▽共同整備による効果=①各本部が単独整備した場合:費用は6本部合わせて約26億円、人員は6本部合わせて90人(現在)②共同で整備(運用)した場合:費用は6本部合わせて約19億円(リプレース方式)、人員は6本部合わせて30~35人程度