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長野県建設産業団体連合会

今こそ声上げる時/危機突破へ総決起大会

2009/01/24 長野建設新聞

 私たちが県民の安全・安心と雇用を守ります―。地域の基幹産業である建設業の役割と現状を県民に訴えるとともに、就労環境の改善に一致団結して取り組もうと、県建設産業団体連合会は23日、長野市内で建設産業危機突破総決起大会を開催した。集結した600人は、作業着に『危機突破』と書かれたハチマキ姿で揃え、『思いは一つ』との姿勢をアピール。県に対し内需拡大を促す積極的な財政出動や、入札制度の改善を講じるよう求める決議を満場の拍手で採択した。

 長野市若里市民文化ホールで開いた大会で、佐々木力会長は「かねてからの業界不況に加え、昨今の経済危機も重なり、疲弊は限界に達している。(自助努力では)とうてい克服できない」と強調。「県民に建設産業を正しく理解してもらうためにも、今こそ声を上げていかなければならない」と呼び掛けた。

 引き続き各団体の代表が、業界の現状をアピール。県建設業協会の岡澤元夫氏は「現行の入札制度は、当たり外れのくじ引き状態。落札しても赤字覚悟。厳しい経営環境の中、社員の賃金は削られ、人生設計を立てられずにいる。そんな状況では、建設産業に興味のある若者も、入職しようとは思わない」と、若年層の業界離れを危惧。失格基準価格の引き上げや、地元企業の受注機会確保策は不可欠と訴えた。

 県測量設計業協会の吉竹行仁氏は「技術者を多く抱える企業と技術者1人の企業、日々技術研鑽に励んでいる企業とペーパー企業が同じ土俵に立たされている」と指摘。「高い意識を持つ企業が活躍し続けられる場を提供することが、県民益につながる」とした。

 県電設業協会の久保田俊一氏は「県民の財産となる公共事業であるにも関わらず歩切りが横行している。さらに、過当競争で落札価格は適正価格の7割。もう限界だ」、県建設労働組合連合会の高木常吉氏は「明日どころではなく、きょうの仕事の見通しすら立たない」と窮状を吐露。建設業に従事する女性を代表し、松本組(北佐久郡立科町)の松本ふみ子氏は「建設投資の激減で、地域は活力を失っている。道路も荒れ放題。優秀な技術者がいることがせめてもの救いだが、給与は年々下げざるを得ない」などと語り、就労環境の改善につながる策を講じるよう求めた。

 大会には、下﨑保県議会議長や6会派の代表県議、経済団体の長らもハチマキを巻いて出席。下﨑保県議会議長は「業界が待ったたなしの崖っぷちに立たされていることは十分理解している」「現状は異常。正常な建設行政が確立できるよう我々も取り組んでいきたい」と激励。

 会派横断的に発足した県入札制度研究会の会長を務める平野成基議員(自民党)は「戦前は農業、戦後は建設業が雇用の受け皿として経済を支えてきた。今、建設業は塗炭の苦しみを味わっている。我々は現行の入札制度がよいとは思っていない」と述べ、改善に取り組む姿勢を示した。

 このあと、佐々木会長をはじめ県建産連の代表は、県議と共に県庁を訪れ、村井知事に要望書を手渡した。


 採択した決議は次のとおり。

 一.緊急経済対策に加えて県内景気回復のため、更なる補正予算措置を講ぜられたい。

 一.平成21年度予算策定に当たっては経済活性化に重点を置き充分な公共事業予算を確保されたい。

 一.全国的な水準の賃金が払える建設工事価格とされたい。

 一.公共事業の入札契約制度について低価格受注を排除する入札制度に改善されたい。

 一.公共事業の入札契約制度について地域の仕事は地域の業者が受注できる制度に改善されたい。

 一.県内の建設関連業者は、技術力、施工能力等の向上に長年に亘り懸命の努力をしてきた。技術力と経営能力に優れた業者が生き残れる施策を講ぜられたい。


 【写真㊤=集結した600人を前にあいさつする佐々木会長。㊦=満員に埋まった会場。発言者が社会基盤整備の必要性や入札制度改善を訴えるたび、大きな拍手が送られた】

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