県都市局都市計画課は、東関東自動車道水戸線(潮来―鉾田間)の整備効果で自動車交通量の変化が予想されることから、鹿嶋市南部の都市計画変更を行う方針だ。3・3・9宮中・佐田線(旧須賀・佐田線)を含む5路線で、いずれも都市計画上の観点から4車線の決定を目指す。そのうち4路線は都市計画道路を既存道路に振り替える事務的な手続きで、3・3・9宮中・佐田線のみ将来的に整備する方針だ。ことし11月に県の都市計画審議会に付議し、年内の都市計画決定を見込む。
この区域の道路網は、鹿島臨海工業地帯の整備に併せて、昭和42年に3・3・8号大船津・小山線(国道51号)を含む16路線を決定したのをはじめ、地域情勢などの変化に合わせて計画の見直しを行いながら、これまでに30路線の都市計画決定を行ってきた。
今回変更を行う3・3・9宮中・佐田線ほか4路線は、昭和42年に都市計画決定し、順次整備を進めてきたが、昨年、都市計画決定を行った東関東自動車道水戸線(潮来―鉾田間)の整備効果で、区域の自動車交通量の変化が予想されることから、区域の道路網を検討した結果を踏まえ、都市計画変更を行う。
そのうち3・3・9宮中・佐田線は、鹿嶋市須賀地内から佐田地内に至る、延長約5740mの幹線街路。未整備区間のうち、起点部から鹿島神宮駅周辺北土地区画整理事業区域界までの区間で事業化の検討を行ってきた。
しかし、現計画のルートは小学校に近接し、貴重な緑地を保全するよう地元から求められている。これらを踏まえ、ルート変更の検討を行うこととなった。
その結果、現都計道の道路機能を損なわず、地域住民との合意形成の代替ルートとして、おおむね平行する市道を拡幅するかたちで都市計画変更を行う。
今回ルートを変更する区間(起点から区画整理界)までは2車線で、将来的な整備を見込む。
そのほか4路線(押揚・宮中線、谷原・爪木線、谷原・平井線、粟生・明石線)については、都市計画道路を既存道路に振り替える事務的な手続きとなる。
今回の5路線は、すべて国の同意が必要であることから、法定手続きに沿って、ことし11月に県の都市計画審議会に付議される予定。可決答申の後、県の告示決定を経て、年内の都市計画決定が見込まれている。
各路線の概要は次のとおり。
【3・1・1押揚・宮中線】
神栖市(旧波崎町)太田地内を起点とし、鹿嶋市宮中地内で国道51号バイパスに至る延長約2万700mの幹線街路。終点付近の一部区間を除く区間が既に整備が完了しており、鹿島臨海都市計画区域の骨格の道路として機能している路線。未整備区間においては、昭和61年にルートの一部(鹿島神宮の区域) が国指定文化財史跡に指定されたことにより、事実上都市計画のルートでの整備は困難。
また、平成14年に開催されたサッカーワールドカップに伴い、増加する交通を円滑に処理するため、国道124号バイパスを整備する必要があったことから、史跡を避けたルートで整備を行い平成14年に供用開始しており、道路ネットワークが形成されている。
以上のことから、現計画での整備の必要性が低下し、また整備されたルートで道路機能を果たすことから、都市計画道路についても終点部の線形を整備ルートに変更し、車線数を4車線(一部区間6車線)とするもの。
【3・3・9宮中・佐田線】
鹿嶋市須賀地内から佐田地内に至る、延長約5740mの幹線街路。
既に、鹿島神宮駅周辺北土地区画整理事業区域や鹿島神宮駅周辺南土地区画整理事業区域内などの区間を整備完了し、宮中地内において現在整備を行っている。
未整備区間のうち、起点部から鹿島神宮駅周辺北土地区画整理事業区域界までの区間について事業化の検討を行ってきた。
しかし、現計画のルートは小学校に近接し、児童の学習の場、遊びの場となっている良好な緑地を通過することとなっているため、貴重な緑地を保全するよう地元から求められている。
これらを踏まえ、安全かつ円滑な道路交通流動を確保し、地域住民の安全性と生活環境の利便性の向上を図るため、ルート変更の検討を行うこととなった。
その結果、現都計道の道路機能を損なわず、地域住民との合意形成の代替ルートとして、概ね平行する市道を拡幅する形で都市計画変更を行うこととした。
以上のことから、起点部が変更となることから、名称を宮中・佐田線に改めるもの。なお、今回ルートを変更する区間(起点から区画整理界)までは2車線、その他の区間においては4車線とするもの。
【3・2・2谷原・爪木線】
国道124号から鹿嶋市北西部に至る延長約7000mの幹線街路で、県道須賀・北埠頭線としてほぼ整備が完了しているが、終点部付近の土地改良区区間が未整備。
しかしながら、鹿島臨海工業地帯への物流機能を円滑に流動させるために、未整備区間の代替道路として土地改良区沿いに道路を整備し供用しているところ。
未整備区間の整備については、代替ルートや上記3・3・9宮中・佐田線の起点変更による道路ネットワークの観点から整備の必要性が低下している。
以上のことから、終点部を既存道路に振り替える変更を行い、併せて名称を谷原・爪木線に改め、車線数を4車線とするもの。
【3・3・11谷原・平井線】
国道124号から住友金属工業㈱鹿島製鉄所西門付近を経過し、平井地内に至る延長約6160mの幹線街路。
住友金属工業㈱鹿島製鉄所西門付近において、都市計画と異なるルートで一部整備が行われており、機能が重複する都市計画道路の必要性が薄れている。このため、一部区間について現在の県道のルートに都市計画の変更を行い、車線数を4車線とするもの。
【3・4・16粟生・明石線】
鹿島臨海工業地帯と国道51号バイパスの水戸方面を結ぶ延長約7880mの幹線街路で、順次整備を進めてきたところであるが、起終点付近が未整備となっている。
このような中、平成14年に開催されたサッカーワールドカップ時の円滑な交通流動を確保するため、終点部の未整備区間の代替道路として国道51号バイパスとの接続道路を整備している。現在においては、水戸方面から鹿島臨海工業地帯を繋ぐ主要幹線道路としての機能のほか、環状道路としての機能も付加された形で道路ネットワークの形成が図られている。
また、現在の起点の南側は住友金属工業㈱が所有しており、今後、北側の区画についても同社が買収する予定で、一体的な土地利用を計画している。
以上のことから、終点部については、都市計画道路として整備する必要性が低下しているため、一部区間を廃止し起終点を変更するもの。また、併せて名称を粟生・明石線に変更し、車線数を4車線とするもの。
【図=鹿島臨海都市計画道路関連の位置図】