横浜市まちづくり調整局は、旭区の横浜動物の森公園(ズーラシア)に新たに整備するアフリカサバンナゾーン(四・六㌶)内に設けるレストランなどの便益施設の設計業者について、公募型プロポーザル方式を用いた選定手続きを進めていたが、このほど、㈱山本理顕設計工場の提案を採用することを決定した。
ズーラシアで整備が計画されているアフリカサバンナゾーンは、アフリカの熱帯雨林の北側に位置し、開幕中の開国博Y150の会場に充てられている場所で、キリン、シマウマ、チーターなどの動物が展示される計画となっている。
今回、プロポーザルにより設計業者に提案を募ったのは、平屋建て、延床面積四〇〇平方㍍、一一〇席、無料休憩スペース、ショップ、トイレを備えるほか、展示場を整える「レストラン」をはじめ、鉄筋コンクリート造平屋建て、床面積三〇〇平方㍍、動物園に入場する改札機能、園内交通の待合所、事務室、ショップ、トイレから成る「北入口動物園ゲート」。それに四五平方㍍の小屋四棟と二〇平方㍍の小屋六棟の「ボマと呼ばれるマサイの集落」の三つの施設。
まちづくり調整局では、同ゾーン全体のイメージと調和した便益施設等のあり方について、レストランを来園者サービス向上のため、持ち込みの食事も可能な無料休憩スペースも併設した施設とし、アフリカサバンナ現地のロッジ等、サバンナ景観に調和したデザイン。北入口動物園ゲートは、南入口と同程度のサービス提供が可能となる施設で、園内交通(園内バス)乗降所をゲート付近に設置するため、来園者を強い日差しや雨などから守る園内交通待合所としての機能も担わせる。さらに、サバンナ景観の雰囲気を高めるデザインとし、将来のカフェやショップ、職員増加による増築が可能な計画とする一方、繁忙期と閑散期での機能変化に対応した施設とする。ボマ(マサイの集落)は、草原エリアを見下ろせる高台に位置し「アフリカ文化」の展示施設、休憩施設、修景施設、家畜をつなぐ小屋とするなどの設計意図を伝え、六月に建築賞などの受賞実績がある市内設計事務所から提案募集をした。
審査は、北沢猛東京大学大学院教授(委員長)と田村明弘横浜国立大学大学院教授を含む同局及び環境創造局担当職員による評価委員会で進められた。
十社から参加意向が寄せられ、その後、八社から技術提案書が提出された。七月下旬の一次評価委員会を経て、六日に㈱山本理顕設計工場の提案を候補者として選定した。
㈱山本理顕設計工場の提案について審査委員会は、サバンナの大地と一体となった独創性ある提案で、動物と環境と建築をランドスケープと一体にとらえるコンセプトを高く評価するとともに、サバンナゾーンに関しても、観客が動物を見る視点や動線と休憩スペースなどのデザインコートは非常に重要な指摘でもあり、地形と一体となる建築とともに、新しい動物園の環境や空間の質を高めるものと考えられると評価し、候補者として決めた。
今後はは、基本設計及び実施設計を年度内に仕上げ、二十二年度は工事監理に当たるというスケジュールで進む。