国土交通省は3日、建設業法施行規則などを改正した。4月1日に施行する。内容は、平成22年3月期決算から原則適用となる工事進行基準を踏まえ、これまでの工事完成基準を前提としていた書き方からシフト。完成工事高(売上)の勘定科目の定義を変更する。このほか賃貸対照表の勘定項目に「リース資産」を追加。さらに注記表を見直し、金融商品と賃貸不動産について、どういうものを持っているのか、また時価評価についてを記載することにした。同省は同日付で各地方整備局、都道府県、建設業99団体に通知した。
建設業者が作成すべき財務諸表は、会社表、会社計算規則、企業会計基準などに準拠して、建設業法施行規則で規定されている。
今回の建設業法施行規則改正は、法務省が会社計算規則などを改正し、今年4月以降の株式会社の財務諸表の作成方法が変更されることに連動したもの。
工事進行基準は売上・費用・利益を工事の進捗に応じて、年ごとに計上するもの。完成した年にまとめて計上する「工事完成基準」とは大きく違っている。大手ゼネコンでは既に進行基準が常識になっているものの、地方の中小建設業者にはまだまだ普及していないのが現状だ。
原価や収益に関する内部の管理体制の厳格化が求められることから、敬遠する会社もあるという。
今年の3月決算から原則適用となってはいるが、完成基準のままでも罰則はない。「年度ごとの工事進捗度を合理的に見積もれない場合」は無理に適用しなくても良いことになっている。ただ建設業課では「無理のない範囲で、少しずつ意識を高めてもらうことは必要」とみている。
このほか建設業法施行規則の一部改正で、賃貸対照表を見直す。「リース取引に関する会計基準」の改正により、実質的に割賦販売と同一視できるリース取引は、賃貸対象表上で売買同様の処理を行うとされた。この改正を踏まえ、賃貸対照表の勘定項目として「リース資産」などを追加する。
建設機械のリースは多いが、リース期間が満了し、実質的に買っている状態のものはバランスシートに載せることになる。
注記表の見直しは「会社計算規則」の改正で、金融商品、賃貸不動産については時価評価に関する注記を行うこととされたことを踏まえた措置。新たに金融商品と賃貸等不動産の状況、時価に関する記載欄を追加する。