佐久生コン事業協同組合技術部会の山本敏明技術者(㈱塩沢産業)は、実証実験を行った結果、プラントや生コン車の洗浄排水によって発生する「スラッジ水」の再利用は、品質には問題なく「生コンJIS」に適合すると判断した。
コンクリートスラッジの排出量は、年間出荷量V2万4000m3を想定して、月平均V2000m3と推定されている。これらを含め、産業廃棄物最終処分場の不足や不法投棄で環境問題が深刻化するなか、多くの企業は多額の費用をかけて埋立処理をしているのが現状。廃棄物の排出量を抑制し、再利用して、環境負荷を軽減させる必要がある。
今回の研究では、「JIS」の規定範囲内であるスラッジ固形分率2%を利用して、佐久市産の砕砂や砕石と試験練りした。スラッジ水配合は、通常の生コンに比べて凝固が数倍早いため、60分を越える打設現場はスラッジ固形分率を1%程度配合したりするなど、各々の現場状況に応じることが必要であるが、打設後に発生する浮き水が通常の半分以下に抑えられるメリットもある。
スラッジ水の有効利用を推進するには、ユーザの承認を得なければならないことのほか、設備投資や管理体制の構築が必要となる。
山本技術者は「廃棄物使用に対する抵抗感から、ユーザの理解が得られないため、殆ど実用化されていない。環境保全を第一に考えれば、スラッジ水の廃棄処理や再加工は行わず、練り混ぜ水として再利用することが望ましいと考える」と話していた。