相模原市の諮問機関で、米軍から返還されたキャンプ淵野辺の留保地の整備を考える学識者や市民代表らから成る「キャンプ淵野辺留保地整備計画検討委員会(委員長・中井検裕東京工業大学大学院社会理工学研究科教授)」は十九日、市役所において第六回検討委員会を開催した。Yゾーンと呼ばれるエリアの土地利用方針(ゾーニング)などについて意見を交わした。
キャンプ淵野辺は、昭和十八年に旧日本陸軍機甲整備学校ができ、二十年に米軍に接収され、米陸軍の兵舎地区となり、昭和四十九年に全面返還された。現在は、小・中学校、公園、博物館、宇宙航空研究開発機構などが立地している。
このうち留保地は、淵野辺公園北側のYゾーンと呼ばれる九・三㌶と、市立博物館北側のXゾーンと呼ばれる七・二㌶の二地区から成る。市では、平成十五年に国が示した「従来の原則留保、例外公用・公共的利用」から「原則利用、計画的有効活用」の基本的な考え方の転換を受け、利用計画を検討し、二十年に利用計画をとりまとめている。
Yゾーンのゾーニングの検討では、市が示した運動施設、広場、駐車場等の土地利用を図ることを方針に立て、ゾーンを「複合施設」、「駐車場」、「緑」、「交流」の四つに分け、駐車場はXゾーンとの連携等を考慮し、市道キャンプ淵野辺2号側に配置し、複合施設は、大会等での搬入車両の利用を考慮し、既存施設と連携できる中央広場側、市道キャンプ淵野辺2号側、交流広場と一体で配置するという考えのうえ、市が想定した三通りのゾーニング案を基に意見を交わした。
この他、道路を隔ててXゾーンの南側に向かい合うYゾーン内の北側で、キャンプ淵野辺全体の中心に位置するエリアを「交流空間」と位置付け、管理事務所、玄関口(エントランス)として噴水やオブジェの設置、カフェやレストラン、さらにXと結ぶ歩道橋、地下道の整備を考えた。
また、留保地の魅力づくりについて意見を交わし、JAXA、市博物館、近代美術館の北側に位置するXゾーンでは、宇宙科学、芸術と連携が図れるよう文化施設の整備。Yゾーンは前記のような施設の導入を図る考えを立てた。さらに、XとYを分け、南北に抜け、国道16号と県道を結ぶ市道キャンプ淵野辺2号の整備方針などについて議論を行った。
また、Xゾーンの利用を検討している国立美術館、JAXAの担当者から現状について報告を聞いた。次回は十一月頃、Xゾーンをテーマに意見を交わす。