記事

事業者
千葉県市川市

トーニチコンサルに関連業務委託/市川市京成立体化 八幡駅周辺地区を中心に検討を

2010/08/25 日刊建設タイムズ

 市川市は24日の入札で、京成本線立体化関連業務をトーニチコンサルタントに委託することを決めた。落札額は280万円(税抜き)。京成本線の沿線整備で同市は、昨年度までの検討内容や取り組みを踏まえて、有識者委員会から提言があった「地下・高架併用案(F案)」を市としても基本とすることを確認しており、これを受けて今回の関連業務では、主に京成八幡駅周辺地区の課題点の整理や、まちづくりからアプローチした場合の対応を検討する。

 京成本線は、JR総武線とともに市民の重要な交通手段として都市機能の役割を担っているが、一方で、市のほぼ中央を平面で横断していることから、多くの踏切で交通渋滞を引き起こすなど、流通・経済面や車の排ガス等の環境面で問題にもなっている。こうしたことから市は、1987年度から調査を開始し、昨年の「京成本線の立体化および沿線まちづくりに関する有識者提言」に至るまで、市民を交えた懇談会やアンケート、市民意見交換会を含めて様々な検討を行ってきた。

 連続立体交差事業の検討区間は、東京方面から江戸川を渡った国府台駅が高架構造となっていることから、同駅を始点に、東部は現在事業中の3路線(外環道路、都市計画道路3・4・18号線、3・5・26号線/木下街道)整備によって税務署通り(京成八幡第9号踏切)、木下街道(鬼越第6号踏切)のボトルネック踏切が改善されることを踏まえて、終点を都市計画道路3・4・18号線までとした中で、全線高架化(A案)、全線地下化(B案)、一部高架化(C案)、一部地下化(D案)、単独立体化(E案)、地下・高架併用(F案)、国道14号下全線地下化(G案)の7案を検討。有識者委員会からは昨年、「地域課題の解消と一体的なまちづくりの可能性が期待できるF案が望ましい」との提言を得たが、市民アンケート等では沿線を中心した住民からはB案、それ以外の住民からはA案を推す声が多かった。

 有識者委員会から提言され、市も基本とすることを確認した地下・高架併用案(F案)は、地域の景観や自然・歴史的な資源、土地利用や上位計画との整合性などを踏まえ、国府台駅(高架)から市川真間駅付近までを高架化し、菅野駅付近では平面化、京成八幡駅付近を地下化するというもの。市は事業効率性、地域への影響、将来的に見たまちづくりや環境面での効果、事業の実施条件などを総合的に評価し、「基本となる案」とした。

 F案の概要は、連続立体交差区間延長が3.22km、連続立体交差事業費682億円(付帯工事除く)、用地買収面積2万3836㎡、借地面積6253㎡、建物補償件数257件を見込んでいる。また、整備による関連事項として側道(W6、4m)整備面積1万9100㎡、1日当たりの踏切遮断時間の解消108時間余り、踏切除却数15か所(検討区間踏切数20か所)、踏切閉鎖数2か所、踏切残置数3か所(平面となる菅野付近)、バリアフリー改善駅数2駅、立体化による空間活用規模(高架・トンネル)1.74km、地域分断規模0.84kmなどとしている。

 これにより、区間内にあるボトルネック踏切2か所および課題となる踏切5か所を含む15か所の踏切除却による交通環境の改善と、立体化による空き地の活用や、これを契機とした地域特性を生かした市街地整備など、大きなまちづくり効果が期待できる一方、技術的には高架・平面・地下への移動に伴う掘割・擁壁区間が長くなる、また、事業化に不可欠な県、京成電鉄との合意が現状では難航している、費用便益比など国の採択基準を満たしていない等の課題も抱えている。

 今年度は、こうした課題点の解決策を探るため、費用便益比が低く抑えられた要因にもなっている現在事業中の3路線(外環道路、3・4・18号線、3・5・26号線)や、7月に開通した成田新高速鉄道の影響をさらに分析するとともに、3路線開通後も交通渋滞や安全性などの課題が残る京成八幡駅および変則五差路(国府台~市川真間)周辺地区のうち、主に京成八幡駅周辺地区について、まちづくりからアプローチした場合の対応について検討する。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら