常陸大宮市や周辺の森林組合、素材生産者、製材業者と中国木材㈱でことし6月に設立した「宮の郷木材事業協同組合」は、宮の郷工業団地内(常陸大宮市)に集成材用ラミナ製材工場の建設を計画している。杉ラミナと米松ラミナを合わせて作る集成材(ハイブリッドビーム)のうち、杉ラミナの部分を製材する施設。今月にも設計入札を公告しつつ、11月の工事入札を目指す。総事業費約15億円で、うち建物5億数千万円、設備9億数千万円。
この事業は、集成材用のラミナを生産する製材工場を整備し、林内に放置されている曲がり材などのB、C材の利用を促進し、間伐など森林整備の推進を図るもの。
場所は、宮の郷工業団地(常陸大宮市)の画地№14。先行して画地№13で建設が進む原木市場(県森林組合連合会)と木材乾燥施設(八溝多賀木材乾燥協同組合)の隣接地。
宮の郷木材事業協同組合の事業計画によれば、工場は画地№14の敷地6万2000㎡のうち、3万㎡をリースで取得し、その場所に延床面積6600㎡の施設1棟を建設予定。
施設は、原木製材等ライン、製材工場等建屋、付帯施設の整備を計画。
主要製材設備は、ツイン台車、シングル台車、ツインオート(曲り挽き対応)、ツインセンター、ツインリップ、ビーンソーター、フォークリフトなど。
総事業費に15億7520万円を試算。うち建物に5億数千万円、設備に9億数千万円を見込んでいる。
資金として、全体の10分の7に当たる10億4870万円を国・県の補助金でまかなうほか、10分の2・6に当たる約3億9000万円を銀行借入、10分の0・4に当たる約6000万円を自己資金で計画。
補助の内訳は、国費が7億4860万円、県費が3億10万円。国費の財源は森林・林業・木材産業づくり交付金、県費は森林湖沼環境基金(5050万円)と森林整備担い手対策基金(2億5005万円)。
生産目標は原木使用量が月当たり1万立方m(2シフト)で、ラミナ生産量が月当たり5000立方m。ただ初年度の原木は5000立方m(1シフト)で計画している。
整備後は、原木市場から供給された間伐材(B、C材)をラミナ製材工場で板状(ラミナ)にして集成材工場へ供給する。その後、ラミナは木造住宅の構造材として利用されることになる。
また製材の過程で発生する端材(チップ)を、パルプ工場などへ供給し、木質系ボイラーの燃料として有効利用する予定。
ことし7月に林野庁から交付決定されたことから、県では組合に事業計画の提出を求め、8月下旬に承認。これを経て、補助交付に向けた申請を求めている段階。今月上旬にも補助交付される見通し。
その後、9月に設計の入札が進められ、11月に工場入札、工場発注となるもよう。
土地リース契約はこれからで、県では秋ごろになるのではと見込んでいる。
なお、関連する原木市場の建築は㈱岡部工務店(日立市多賀町)、外構は㈱秋山工務店(日立市大沼町)、木材乾燥施設の建築は㈱浅川建設(那珂市豊喰)、外構は㈱片岡組(常陸大宮市上小瀬)が施工。9月末には原木市場、10月末には木材乾燥施設が完成予定。
そのほか今年度は、関連施設としてプレカット加工施設の建設が計画されている。
【図=ラミナ製材工場の建設予定地】