国土交通省は直轄工事における工事代金の支払いで、建設会社の“どんぶり勘定”体質脱却とキャッシュフロー改善、更には工事進行基準への対応という観点から、部分払への転換を促進する方針を固めた。A・Bランクの、難易度が高く工期も長い工事では、施工プロセスを通じた検査と出来高部分払との一体的な運用を定着させる。また地域の中小企業が主戦場にしているCランク案件では、あらかじめ支払対象とする出来高を設定した上で、それを超えた段階で部分払を行う「マイルストーン方式」の導入に向けた検討を開始する。
「マイルストーン方式」は、当該工事の施工において、複数の区切りの良い指標(マイルストーン)を設定し、それを達成した段階で工事代金を部分払する手法を指す。
まず契約後の受発注者の打ち合わせで、マイルストーンと、それに対応する出来高率を双方で合意する。
例えば橋脚の工事において、フーチング完了時点で30%、脚柱完了時点で70%の部分払ということで合意した場合、それを超えた段階で工事代金が支払われる。
簡便で効率的な出来高確認手法の確立がポイントになり、受発注者双方の作業量負担軽減も期待できるという。
公共工事における「前払金4割・完成払金6割」という一般的な支払方式は、建設業の“どんぶり勘定”体質の主要因という指摘が根強くある。
同省でも問題意識は持っており、大型工事においては、施工プロセスを通じた検査とセットで運用する出来高部分払方式により、2カ月に1回程度の支払いの普及に努める。その一環として来年度は、施工プロセス検査のパンフレットを全出先事務所長に周知徹底する計画を立てている。
ただ施工プロセス検査は、新たに品質検査員を配置して日々の工事実施状況を把握するため、コストやマンパワーが必要となる。
このため、工期も短く発注件数が多いCランク案件などでは、より簡易な方法での部分払適用が必要と判断した。
なお直轄工事の22年度発注件数(3月末時点)を一般土木でみてみると、Aランク約50件、Bランク約180件なのに対し、Cランクは約2000件というボリュームがある。またCランクの平均工期は230日程度となっている。
なおマイルストーン方式の導入に際しては、過払いが発生しないような制度設計が課題とみられている。