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業者の叫び②/架空の事実による工期延長/予算の帳尻合わせも/発注者が工期を遅らせる

2010/10/14 日本工業経済新聞(茨城版)

 とある現場。工事は終わっているが、発注者の設計変更が間に合わないため、工期を延長。結果、工程管理が出来ていないという名目で工事成績評点に悪い評価を与えられてしまった。

 業者は「期日を守って変更届けを出したというのに…」と嘆く。

 変更理由は必ず受注者の責任で、発注者側の問題で工期を延ばしたという理由はあり得ないのだという。

 「発注者は現場での問題をつくる。言わば架空の事実。例えば『水が吹き出てしまった』など。実際に起きてはいないのだが…」

 そういった工期延長が「当初の段階で対応できなかった」と見られ、施工、工程管理が出来ていないとマイナスを付けられてしまう。そういう事例があるのだという。

 期日どおりに出しても発注者が処理してくれない理由。それを業者は「担当者の能力の問題や抱えている件数の多さにあるのでは」と指摘する。

 しかし、それが民間同士の話だったら、とても通用するものではないだろう。

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 これに似たようなケース。

 年度末間近の舗装工事。 業者は発注者から「年度末だから、予算が余った場合はこの工事に付ける。工期を2カ月延ばすので、3月末に仕事をやって下さい」と言われたという。

 そして工期ぎりぎりまで引っ張られ、変更があるのかと思うと変更はなく、そのまま仕事をやる羽目に。

 その間、技術者も当然拘束される。本当なら1カ月で終わるような仕事が2カ月、3カ月と時間を要したという。

 業者は「経費ばかりかかって現場も儲からない、仕事も増えない。予算の帳尻合わせに使われた」と話す。

 これらに共通して言えることは、発注者の理由で工期が延長され、受注者がしわ寄せを受けたということ。

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 では、このような問題をどう改善していけば良いのだろうか。

 ある工事業者は、「コンサルが設計を組む段階で、しっかりと現地照査を行っていれば、ある程度のことは回避できるのではないか。その変更のしわ寄せは、みんな工事業者に来てしまう」と述べる。

 また、ある業者は、「甲乙お互いに、設計変更(数量や工期)を行う時期を、工事打ち合わせ簿に記録として残すことが大切」と言う。

 さらに、「契約上の要項のなかに明記しておくのが良いのでは」と言う業者もいた。

 結局、担当者の能力の問題や抱えている件数の多さの諸問題を解決するには、発注者内のコミュニケーションの向上に期待するほかないのかもしれない。そして、責任を業者に押し付けないようにすることが大切なのではないだろうか。


【写真=休工中のイメージ】

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