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千葉県松戸市

アイテックに建替計画支援業務委託/1号館を軸に現在地での建て替え検証

2010/10/28 日刊建設タイムズ

 松戸市の市立病院建替計画支援業務委託に伴う公募型指名競争入札が27日に行われ、アイテック(東京都中央区新川1-25-12)が1100万円(税抜き)で落札した。今後、既存病棟のうち1号館の建て替えを軸に検討・検証作業を進める。履行期限は2011年3月22日まで。なお、入札はアイテックのほか三菱地所設計、パシフィックコンサルタンツが参加して行われた。

 業務委託の内容は、①市立病院建替計画の作成支援②現地建て替えに関する調査・研究・検証。建替計画の作成支援では、全体計画(市立病院のあり方について今までの検討に基づき基本的な事項を定める)、部門別計画(市立病院の部門別の規模・機能について今までの検討を踏まえ基本的な事項を定める)、医療機器等整備計画(主な医療機器の導入計画・概算費用の検討)、建設計画(現地建て替えに関する検討結果のまとめ)、財政計画(財政面のシミュレーションを行い、収支計画等を作成)、その他必要な計画を立案する。

 一方、現地建替えに関する調査・研究・検証では、学識経験者や市民参加の建替計画検討委員会とともに、工事中も病院の機能を維持しながら、安全に現地建替えをする方法について研究・検討し、建て替えの手順や建替え工事中の診療計画、収支計画等のシミュレーションを行うほか、必要に応じて現施設の耐震診断、構造計算および現地設備調査を行い、既存の建物を使いながらの建て替えが可能か、また、法的な制限はどうか等を検証する。

 今年6月の市長選の争点にもなった市立病院の建て替えについて、当選を果たした本郷谷市長は就任後、選挙戦のマニフェスト通り移転はせず、現在地で一部を建て替えるとの方針を示した。

 市立病院の建て替えについてはこれまで、紙敷土地区画整理事業地内保留地66街区(敷地約1万1000㎡)への移転を前提に、昨年度から久米設計に委託して設計が進められ、病床数600床、診療科25科、地下1階地上11階建て、延べ約5万2100㎡(うち駐車場約6700㎡)で市長選前までに基本設計を終えていた。

 しかし、新たに市長になった本郷谷市長は、病院の移転計画を白紙に戻し、現在地での一部建て替えで対応する方針を示したため、9月議会で関連予算を補正し、有識者や公募市民で構成する市立病院建替計画検討委員会を新たに設置するとともに、病院の現在地建て替えについて専門知識と経験のあるコンサルタントに基本計画策定支援業務や耐震診断、現地設備調査等を委託することにした。

 なお、現在の市立病院は、1~4号館が同じ敷地内(敷地面積1万3297.22㎡)、5号館(臨床研修棟)が道路を隔てて別の敷地(敷地面積1093.04㎡)にある。各建物規模は、1号館(1967年築)がRC一部S造地下1階地上5階(塔屋2階)建て、建築面積3401.44㎡、延べ1万1479.36㎡。2号館(80年築)がRC造地下2階地上6階(塔屋1階)建て、建築面積1290.45㎡、延べ7324.12㎡。3号館(89年築)がRC造地下2階地上4階(塔屋2階)建て、建築面積1333.49㎡、延べ7521.90㎡。4号館(83年築)がRC造地下2階地上平屋(塔屋1階)建て、建築面積1385.46㎡、延べ3182.00㎡。5号館(87年築)がRC造地下1階地上4階(塔屋1階)建て、建築面積544.03㎡、延べ2388.58㎡。

 このうち、検討・検証作業の軸となる1号館は、1階が外来診療室の大部分、救急室、健康管理室、薬局、2階が集中治療室、産婦人科、3階が外科、呼吸器外科、泌尿器科、4階が内科、消化器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、5階が整形外科で、病棟部分(2~5階)には、全613床の病床の半分の308床が入っており、市立病院の中心病棟になっている。また、増築等を繰り返したため、敷地内は正面玄関付近以外は余裕がない。

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