鹿島建設(中村満義社長)は28日、日本で初めて薬用植物「甘草(かんぞう)」の水耕栽培システム開発に成功したと発表した。
独立行政法人医薬基盤研究所(山西弘一理事長)、千葉大学(齊藤康学長)と共同で、3年以上前から取り組んできた研究開発プロジェクトが実を結んだ。
「甘草」は漢方薬の原料で、一般用漢方製剤の7割以上に処方されている。また漢方薬のほかにも、ドリンク剤やサプリメント、シャンプー、スナック菓子の甘味料などで幅広く使われている。
国内使用量の100%を海外からの輸入に頼っており、一番多いのは中国から。今回の開発により、安定的な確保・供給への期待がかかる。
鹿島のエンジニアリング本部生産・研究施設第3グループでは、今後も実証データの蓄積や検証を進め、1、2年後の実用化を見込む。漢方薬メーカーとのビジネスチャンスにつなげたい考えだ。
具体的には、植物工場の建設、栽培ノウハウ、栽培施設の運用サービス提供までを視野に入れた提案を行っていく。
なお植物施設工場の施設需要としては、今後10年間で250~600億円程度という推定がある。
一般的に、薬用植物の栽培は難しいと世界中で受け止められている。また水耕栽培は土で育てるのに比べ、生育期間を短縮できるメリットがある。