船橋市は、山手地区の旭硝子船橋工場跡地を対象にした「新船橋駅東地区地区計画」の決定に向けて作業を進めている。先月までに原案の縦覧を終えており、今後、案の縦覧を経て市の都市計画審議会へ諮り、県知事の同意を得て計画決定する。原案では、現在、高度地区の指定により20mが最高限度となっている建築物の高さを、地区計画により31mに緩和することで、1500戸程度の高層住宅地を創出するとしている。
また、建設予定地の土壌環境の改善で計画が中断していた、地区計画エリアに隣接する(仮称)イオン船橋ショッピングセンターについても、今月20日で既存のマックスバリュ船橋店が閉鎖されるなど、建設に向けて動き出す気配を見せており、今後、山手地区のまちづくりは加速しそう。
山手地区は、東武野田線の開通や船橋市の誕生で大規模工場が相次いで進出。昭和初期には軍需工場が、また、戦後になると日本の高度成長を支える新たな工業の集積が進んだ。しかし、近年は周辺に住宅団地やマンション等が立ち並び、製造業の海外への転出など産業構造業の変化もあり、商業系などへの土地利用転換が進んでいる。
こうした中で市は、07年度から2か年をかけて山手地区のまちづくりに関する調査を実施し、山手地区の将来ビジョンをまとめた。旭硝子船橋工場の跡地利用を含め、事業者、地域住民双方が、より良い土地利用の転換を目指そうというもの。東武野田線の新船橋駅を挟んで、東側の旭硝子工場跡地を複合市街地ゾーン、西側の日本建鉄工場跡地を住工調和ゾーンとし、日本建鉄工場跡地の北側を住宅市街地ゾーン、さらにその北側を住工調和ゾーンとしている。
新船橋駅東地区として、現在、地区計画決定の作業が進められているのは、複合市街地ゾーンに位置づけられている旭硝子船橋工場跡地のうち、約11.9ha。複合市街地ゾーンは、新たな暮らしを創造する核として、暮らしを支える生活支援機能の導入、多世代が暮らせる住宅供給、地区をつなぐ基盤整備をはかることにしている。
地区計画(原案)では、こうした点も踏まえて、暮らしを支える商業施設の誘致や医療・高齢者福祉施設の誘致、多様な住宅の供給、地区内をつなぐ交通ネットワークや拠点とる公園の整備などを想定し、区画道路により地区内を大きく7ブロック程度に分け、集合住宅地区(4.9ha)、複合地区(5.7ha)、低層住宅地区(1.0ha)、利便施設地区(0.3ha)を設定して土地利用の転換を誘導する。
併せて、工業地域(建ぺい率60%/容積率200%)で、第1種高度地区(高さ制限20m)に指定されている現行の用途地域を、地区計画で建築物の用途制限を行うことにより区域区分に沿った施設の立地を誘導。さらに、集合住宅地区と複合地区の一部では、高さ制限を31mに緩和する計画でいるが、高さ制限の緩和に伴い、建ぺい率の最高限度を50%とする。
このほか、道路ネットワークについては、新船橋駅西側で新たに計画されている(仮称)イオン船橋ショッピングセンターへの車でのアクセスを考慮し、地区中央に東西道路を配置するほか、地区内ネットワークの軸となる南北道路も配置。これらを骨格に、新船橋駅に接続する駅前通り、区域の北側に区画道路1号、2号、3号、4号を配置。駅前通りにおいては、駅前の顔となるシンボル的な空間を形成する。
なお、新船橋駅西側に計画されている(仮称)イオン船橋ショッピングセンターは、マックスバリュ船橋店を取り壊し、隣接する日本建鉄工場跡地の一部を加えた約4.9haを敷地として、S造5階建て、建築面積2万7179㎡、延べ12万3297㎡で計画されており、設計は大本組が担当。さらに船橋市では、旭硝子工場跡地の一部(地区計画エリア外)を第1候補地として、保健所や中央保健センターの機能に夜間休日急病診療所を併設した(仮称)保健福祉センターの建設を検討している。