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千葉県県土整備部

国県道など「全面通行止め」6路線/県土整備部調べ 市町村道被害1390個所に、旭市は不明

2011/03/17 日刊建設タイムズ

 県県土整備部は、11日午後に発生した「東日本大震災」による県内の道路被害のうち、15日6時現在で「全面通行止め」となっている6路線(国道2、県道3、有料道路1)の内容を明らかにした。

 それによると、全面通行止めの規制が続く路線名は、国道464号(成田市)、国道356号(我孫子市)、主要地方道千葉竜ヶ崎線(我孫子市)、主要地方道飯岡一宮線(旭市)、主要地方道鎌ヶ谷本埜線(印西市)、流山有料道路(流山市)。

 これらの被害個所と被害状況は、国道464号が成田市北須賀地先の路面陥没と甚兵衛橋(印西市よしたか地先)の橋台沈下、国道356号は、我孫子市都地先の液状化、千葉竜ヶ崎線は、我孫子市布佐地先(都交差点)の液状化(L250m)、飯岡一宮線は、旭市飯岡から旭市足川までの津波による路面冠水、鎌ヶ谷本埜線は、印西市酒直ト杭地先(長門橋~印西印旛線交差点)の路面陥没とクラック、流山有料道路(流山市谷~同市南)は、常磐道の通行止めによるもの。

 県が所管する道路の被害状況は、15日17時現在で国道5路線、県道48路線及び県管理有料道路6路線において、段差、亀裂、陥没及び液状化などの被害が109個所で発生。59路線のうち全面通行止めは前述の6個所、片側通行止めは3個所で、現在、交通規制を実施している。

 これらの対応状況としては、引き続き被害状況の把握に努めるとともに、(社)千葉県建設業協会らと協力して、早期開放に向け応急工事を進めている。

 一方、市町村道の被害状況は、千葉市と旭市を除く県内52市町村全体の被害個所数が、15日正午現在で1390個所に及び、前回、同じく県土整備部が12日19時20分現在でまとめた被害個所数229個所から、約3日間で約6倍に増え、新たに1161個所を確認。津波による路面冠水が著しい旭市の被害状況は「不明」としている。

 このうち、被害個所数が多いのは、①浦安市(519個所、路線数)②香取市(227個所)③習志野市(158個所)④佐倉市(118個所)⑤野田市(61個所)――など。中でも浦安市は、被害による道路の全面通行止め(50個所)と片側通行止め(200個所)でも突出している。

 これらの被害の代表内容は、浦安市が液状化による道路陥没・舗装段差、習志野市が埋め立て地域全域の道路陥没・舗装段差、佐倉市がⅠ-24号線の道路の隆起・陥没・亀裂など。

 他方、県土整備部による道路以外の被害状況確認では、河川において新たに新川(匝瑳市)を加えた11河川25個所で護岸が倒壊、2河川の2個所で河道閉塞、24河川の41個所で堤防の亀裂が傾斜、沈下等を生じているとした。

 また、海岸では、新たに下永井海岸(旭市)、吉崎海岸(匝瑳市)、野手海岸(匝瑳市)、横根海岸(旭市)、日在海岸(いすみ市)及び大船谷海岸(いすみ市)の6海岸13個所を加え、10海岸20個所での護岸の損壊等を確認。急傾斜地では香取市1個所を追加し、10個所での法面崩壊等を確認した。

 港湾の被害状況では、新たに千葉港の市川市塩浜地先で護岸に亀裂、葛南中央地区の上屋内貿2・4・5号について破損、亀裂が生じていることを確認。また、千葉ポートタワーのエレベーター・屋上のゴンドラ等が破損したことから、当面は休館することとした。

 下水道の被害状況では、新たに3流域下水道の4処理場において、水処理施設の床版の沈下など8件を確認。これらについては現在、調査を進めており、調査終了後に補修等の方針を決定するという。

 従前住居生活困難者の住宅確保へ具体的に4つの対策 

 県営住宅の被害への対応では、避難している被災者のうち従前の住居での生活が困難者について、住宅課がすぐに入居できる県営住宅、公社賃貸住宅等の状況を調査した結果、県全域における「提供可能な住宅」として、県営住宅67戸、市町村営住宅33戸、千葉県住宅供給公社賃貸住宅15戸の計115戸を確保した。

 今後は「具体的な確保」に向け、次の4つの対策を講じていくという。

 ①災害救助法が適用された3市1町(旭市、香取市、山武市、九十九里町)に対し、住宅の確保を要する被災者数の調査及び応急仮設住宅を建設する場合の建設予定地のリストアップを依頼

 ②応急仮設住宅として民間賃貸住宅を活用するため、提供していただける住宅の調査・情報提供を(社)宅地建物取引業協会及び(社)全日本不動産協会に依頼

 ③県内市町村、千葉県住宅供給公社に対し、具体的な入居に向けて市町村営住宅等の提供を正式に依頼

 ④独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)に対し、被災者向けに提供する住宅について、県内被災者への配慮を要請

 県土整備部では、これらにより確保した住宅については、市町村と緊密に連携し、入居者の決定方針等を検討していくという。

 栄町と東庄町から被災建築物応急危険度判定支援要請

 県総務部消防地震防災課発表(第35報、16日12時現在)による建築の被害状況は、全壊380棟、半壊261棟、一部破損8524棟、床上浸水466棟、床下浸水206棟となっている。

 県土整備部建築指導課によると、被災建築物応急危険度判定は、香取市、成田市、佐倉市、栄町、東庄町の3市2町が実施中で、旭市が実施を予定。

 このうち、栄町及び東庄町から県への支援要請があり、判定士7人(建築指導課6人、印旛地域整備センター1人)を現地に派遣した。

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