県土木部と新潟県建設業協会が主催する「高校生の現場見学会」が14日に行われ、県立加茂農林高校環境緑地科3年生の生徒36人が八十里越の建設現場を見学した。
八十里越事業は、国道289号の新潟・福島県境(三条市塩野渕御所~福島県会津郡只見町)にある約20㎞の交通不能区間の解消を目的に、新潟県、福島県、国交省が3区間に分けて整備を進めているもの。
この日の見学会では、生徒らが2台のバスに便乗し、新潟県側の工事ゲートから入り、八十里越で最長となる9号トンネルの工事現場を見ながら、トンネル施工の手順や方法などについて施工担当者から説明を受けた。北陸地方整備局が事業を進める同トンネル(L3173m)は、発破掘削のNATM工法により、2000年から工事に着手し、昨年11月に貫通。現在、覆工コンクリート、インバートの施工が進められている。
施工にあたっては、現場が日本有数の豪雪地帯のため、毎年12月上旬から5月上旬まで冬期休工となり、施工期間が6カ月に限られるため、一日でも多く施工できるように現場事務所などを耐雪型にして再設置・撤去の期間を短縮していることや、現場付近にはイヌワシ等希少動物が生息しているため、騒音対策などを行っていることなどが説明された。
生徒らは「トンネルを100m掘り進むのに、どのくらいの期間がかかるのか」「掘削するのにボーリングマシンでなく、なぜダイナマイトを使うのか」などと質問し、初めて足を踏み入れるトンネル工事現場のスケールの大きさに驚き、緊張の面持ちだった。
また、午後からは、八十三里建設現場の新潟県側工事ゲート近くにある大谷ダムを見学。中央しゃ水壁型ロックフィルダムとなる施設の概要や、同ダムからの放流水と落差を利用した水力発電設備などについて説明を受けた。
同現場見学会は、県内高校等の建築科、土木科、農業土木科の生徒に、建設工事の現場を見てもらい、建設業の社会的役割や魅力、県の土木行政等の理解を深め、建設業への入職促進を図るため、毎年行われている。
【写真=トンネル工事の現場を見学する生徒】