県は、地震で被災した栽培漁業センター(鹿嶋市平井2287)の復旧に向けて、国と災害査定の準備を進めている。主管課の農林水産部水産振興課では、早期に災害査定を進め、設計や工事の準備を進めていきたい意向だが、漁港の災害査定が優先されることから、栽培漁業センターの災害査定はまだ日程が確定していない状況だ。6月補正予算には事業費に11億4920万7000円を計上した。
鹿島港内に立地する栽培漁業センターは、1993年度から94年度にかけて、敷地2万5713㎡に延床面積7746㎡で建設された。建設費は約38億円。取水量は1時間当たり600立方mで最大900立方m。水槽容量が3753立方m。現在、(財)県栽培漁業協会が運営している。
3月11日の大地震では、管理棟や魚類棟、育成棟、アワビ棟、二枚貝棟などが被災。魚類棟の裏手や正門近くの駐車場一帯、クロレラ水槽と管理棟の間で液状化による堆砂が発生したほか、育成棟と取水施設の間で80㎝以上の沈下が見られた。
また、取水機械棟の周辺で配水系統の切断や破損が多数発生。魚類棟、アワビ棟、二枚貝棟の3棟では床沈下による隙間が見られ、魚類棟では床下沈下も発生。クロレラ水槽の前では共同溝がゆがみ、周辺に沈下や隙間が見られた。
県では、取水施設や排水施設、共同溝、各棟の建物内配管などを対象に復旧工事に着手していく方針。
そして早期復旧に向け、事業費11億4920万7000円を6月補正予算に計上した。
これと並行して、事業費や工法を確定させるため災害査定を進めたい意向で、水産庁や関東財務局と調整を進めている。だが、漁港の復旧が優先されることから、査定日の見通しが立たない状況。
今後、災害査定の日程を確定させるとともに、県土木部営繕課と設計や工事に向けた協議が進められるもよう。
【図=栽培漁業センターの配置】