福島原発事故の収束に向けた取り組みを進めている東京工業大学原子炉工学研究所有冨研究室は、日本国土開発、NPO法人再生舎と共に、汚染土壌、汚染がれき、汚染汚泥水の新たな埋設処分技術を開発した。地下水や海水への放射線物質の溶出を長期間抑えられるもので、従来のビニールシートなどで覆う管理型処分場に比べ、安全性は非常に高いと考えられている。
施工例としてはまず、ベントナイトと汚染されていない土壌などをツイスター(日本国土開発が開発した装置)で混合攪拌した混合土を用いて、管理型処分場の底と側壁を形成する。これにより、処分場の内部と外部との透水を防ぐ。
次に、イオン吸着効果により放射性物質を封じ込め、東京工業大学と再生舎が開発した水への不溶化剤(イオンリアクション)を、埋設する土壌類の容量に対して5%をツイスターで混合攪拌した混合汚染土を埋設する。
地表はベントナイトと汚染されていない土壌などをツイスターで混合攪拌した混合土で塞ぎ、雨水の埋設した汚染土に通水しないようにする。
埋設後の地表面を改良する必要がある場合には、土壌改良剤をツイスターで混合攪拌した混合土を用いて表面を固める。
雨水による放射性物質の不溶性については、放射線量を施行後計測できるシステムの構造を提案している。
今回の技術の適用可能な汚染物質は次のとおり。
①校庭、園庭、公園など、空間線量が高い土壌の表面掘削による汚染土壌の地中処分
②福島第一原子力発電所の外部に存在する汚染されたがれきは、外部に飛散しない構造のツイスターを用いて、粉砕化したものを地中処分
③下水処理場で発生する汚染汚泥水を濃縮・乾燥させたもの、並びに、それを焼却した汚染灰の埋め立て処分
④汚染された溜まり水を浄化した際に発生する放射性廃棄物を焼却処理した灰、汚染された逆浸透膜のフィルターや膜を焼却した灰の地中処分
【図=校庭・公園土壌安定不溶化管理フロー】