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「長生郡市地籍調査協会」が設立/包括的な受託能力備えた全国初の「適格法人」

2011/08/04 日刊建設タイムズ

 全国に先駆けた地籍調査の適格法人(国土調査法第10条2項)として、地元測量会社9社と調査士5事務所(別項)による「一般社団法人長生郡市地籍調査協会」(石塚修理事長)が設立し、その設立記念式典が4日、茂原市内で開かれる。

 4日に設立記念式典

 わが国における土地に関する記録の約半分は、明治時代の地租改正により作られた地図(公図)をもとにしたもので、土地の境界が不明確で測量も不正確なのが実情。限りある国土の有効活用と保全のためには、土地の実態を正確に把握する「地籍調査」を実施する必要がある。

 全国におけるこれまでの実施状況は、1951年の国土調査法制定以来、全国市町村の約8割が調査に着手。そのうち、調査を完了した約3割の市町村が成果を利活用している。

 第5次国土調査事業十箇年計画(2000-09年度)に基づく、現在までの本県の実施状況によると、調査対象面積4914キロ平方メートルに対し、09年度末調査済み面積は651キロ平方メートルで、進捗率は13%。

 全国平均の49%を大きく下回るとともに、都道府県別にみても大阪(6%)、京都(7%)、三重(8%)、奈良(11%)、神奈川(12%)、愛知(12%)、滋賀(12%)に次いで、福井(13%)とともにワースト8位を記録。

 地籍調査の整備が遅れた原因としては、①市町村職員に過度な負担があった②一業者の対応では公正さを欠き、技術力の格差や大規模な作業に不向き③精通した地域の土地家屋調査士や測量士の連携がなく、円滑且つ迅速な推進ができなかった――などがある。

 これらの問題を解消するため、昨年、国土調査法が改正され、第10条2項で「適格な法人には、市町村が包括的に委託することができる」となったことから、同協会はその適格法人として設立したもの。

 適格法人の重要な条件は、法改正の目的に沿った事業運営を基本方針とし、市町村に代わって包括的に受託できる能力を備えるため、技術力、機動力の向上とともに、公正な運営と永続的な信用力を保持した健全な団体であることが必要不可欠とされる。

 この法人は「全国初」ということで、関連団体や関連企業からも耳目を集めており、これについて一般社団法人長生郡市地籍調査協会の石塚修理事長は、「大変意義があるとともに責任は重大」との認識を示すとともに、本県の地籍の整備率が全国で最も遅れている県の一つであることに対して、「今後は予算の飛躍的な拡大がどうしても必要になる。地籍調査の整備が遅れることでの損失は大変大きなものがあり、関係機関に対して地籍調査の緊急的整備のため、地域をはじめ長生郡市地籍調査推進委員会とともに、予算拡大の啓発活動を行っていく」との方針を示した。

 連帯責任体制での献身的事業活動を

 また、同協会における「健全な法人の運営維持を図るため」として石塚理事長は、「連帯責任体制による全会員一丸となった献身的事業活動が不可欠であり、全国に先駆けた法人として他の模範となることが目標」としている。

 ちなみに、本県における地籍調査は、1957年に安房郡三芳村(当時)が調査に着手。現在の県下54市町村のうち、2009年度までに事業が完了したのは神崎町、多古町、一宮町の3町で、実施中が千葉市、市川市、旭市、流山市、南房総市、山武市、芝山町、東庄町、大多喜町、鋸南町の6市4町。休止中は成田、柏、市原、富津、香取の5市。

 長生郡市における地籍調査事業の動きは、一宮町の事業が完了したほかは、白子町と長柄町が来年度の事業着手に向け、今年度で県と国に対して事業計画を提出。さらに、睦沢町と長南町が13年度の事業着手に向け、同じく来年度に事業計画を提出する見通し。

 以下、同協会の2011年度事業計画をはじめ役員、構成会員は次の通り。

 【2011年度事業計画】

 〈事業活動方針〉

 地籍調査を包括委託することが可能な法人として、地籍調査事業の主旨と共に関係市町村の基本方針のもと、地籍調査事業を円滑に推進し、登記に関する手続きの円滑な実施に資し、国民の権利の明確化に寄与することを目的とし、以下の事業活動に取り組む。

 1.各市町村の事業計画書作成に関する支援をしていく

 2.地籍調査事業の包括委託方式における実施体制を協議検討のうえ確立

 3.地籍調査事業における工程別の作業手法の検討と事業着手の準備

 4.地籍調査事業の啓発とともに予算拡大のための活動を行う

 〈主な事業〉

 1.設立総会:2011年4月

 2.事務局の設置:2011年4月

 3.設立記念式典:2011年8月4日

 4.技術研修:①法人内研修②法人外研修③地籍主任調査員試験の受験奨励④管理システム及び処理ソフト等の選定⑤その他

 5.啓発活動:推進委員会と共催して行う:①自治会長への挨拶②自治会員への説明③署名活動運動④市町村関係者へ説明⑤予算要望活動⑥その他

 6.各部の業務指針作成:〈総務部〉①配分基準の作成②包括委託のあり方③各部業務分掌等の明確化④その他〈技術部〉①作業計画書の作成について②各工程別の研究③作業フロー④作業手順書⑤積算歩掛基準⑥その他〈検査委員会〉①検査方法について②マニュアルの作成③その他

 【役員】

 □理事長=石塚 修(㈱コーケン)

 □副理事長=古山 弘(㈱三陽測量設計、総務委員長)▽矢部義明(㈱セントラルサーベイ、技術委員長)

 □理事=矢部三津夫(㈱ミヤモ設計、企画調整)▽石井克幸(㈱美幸測量、検査委員長)

 □監事=川島正雄(川島正雄事務所)▽渡辺正雄(光和測量㈱)

 □事務局長=齊宮参作(㈱コーケン)

 □顧問=酒井茂英(県議会議員)

 【会員】〔▽会社事務所名(代表者名、住所)〕

 ▽㈱コーケン(石塚 修、茂原市長尾2683番地の28)

 ▽㈱三陽測量設計(古山 弘、長生郡睦沢町小滝475番地1)

 ▽㈱セントラルサーベイ(矢部義明、茂原市高師999番地)

 ▽㈱ミヤモ設計(矢部三津夫、茂原市本納1735番地1)

 ▽㈱美幸測量(石井克幸、茂原市押日595番地5)

 ▽エイワン測量㈲(市原 昇、茂原市大芝67番地6)

 ▽ふさ測量㈱(岡田忠次、茂原市道表6番地の6)

 ▽伸一測量設計㈱(山本敏雄、茂原市本納2421番地6)

 ▽光和測量㈱(渡辺正雄、茂原市高師32番地の1)

 ▽神代正剛事務所(神代正剛、茂原市高師500番地7)

 ▽川島正雄事務所(川島正雄、長生郡一宮町一宮2560番地5)

 ▽宇津木三雄事務所(宇津木三雄、市原市五所1716番地)

 ▽髙山尚士事務所(髙山尚士、千葉市中央区松ヶ丘町24番地)

 ▽田邉廣昭事務所(田邉廣昭、長生郡睦沢町長楽寺712番地1)


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