昨年7月1日に設立された横浜ウォーター(神奈川県)は、横浜市水道局100%出資の株式会社。同局が培ってきた技術力・ノウハウを活用し、ビジネス展開を図っている。具体的には国内の水道事業体を顧客とした施設整備、維持管理のほか、研修事業や国際関連事業も実施。水道技術や事業経営に関するノウハウなどの講座については民間企業も受講しており、好評を博している。公表はできないものの、意外な会社も参加しているという。豊田通商という大手商社出身の五十川健郎(いそがわ・けんろう)社長にインタビューし、経営方針などを聞いた。
―今後の事業展望は
五十川 これまで1年やってきて、単独ではなく、色々なところと連携し、強みを生かして事業展開することが必要だと感じている。国内も海外も、基本方針は連携。どこかと組んでやっていく。官民なり、官官なり、補い合ってやっていかないと明日はない。例えば、技術面はこちらでやるからファイナンスは頼むといった具合に補完関係が必要。またそれは、リスクの分散にもなる。水道業界も競争社会になってきた。今までは各事業体が城を持っていたが、民間が入ってくれば当然、競争になってくる。国内では、現在、研修事業のほか、横浜市の川井浄水場運転管理業務と給水装置工事給水審査・完了審査業務を受託している。それによって業務実績を積み、国内他事業体の課題解決に貢献していきたいと考えている。
―海外展開について
五十川 無収水対策や漏水調査、料金システムなどの領域で、JICAや経産省、あるいは民間の調査案件、コンサルティングを行っており、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの案件を手がけている。水ビジネスは、生活に密着にしているので、対象国の人々の生活の向上の視点に立って、持続的に取り組んでいきたい。そして、その中で工夫して、収益確保につなげていきたい。
―社長として今後、成し遂げたいことは
五十川 今は国内も海外も、調査やコンサルティング案件が多い。ひとつのプロジェクトとして、まとまった案件を育てていきたい。また、まだ国内は研修事業が中心だが、将来の夢としては、国内と海外と、半分くらいずつやっていきたい。
【略歴】
1968年に豊田通商入社。欧州法人副社長兼ドイツ支店長、英国法人副社長、フィリピン現地法人社長などを歴任。昨年7月、公募・選考により現職。66歳。
【写真=海外展開について語る横浜ウォーターの五十川健郎社長】