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住友電工の海水淡水化前処理コスト大幅低減「TT膜・装置」に注目

2011/09/14 本社配信

住友電気工業(本社・大阪市中央区北浜4-5-33、松本正義社長)が開発した海水淡水化の前処理コストを大幅に低減できる「TT膜・TT装置」に注目が集まっている。RО膜(逆浸透膜)の透水性能の低下を抑制する装置で、RО膜の性能低下の原因といわれる海水中の生体外分泌高分子粒子(ゼリー状物質、TEP)を除去できるTT(TEP Trap)膜と捕捉したTEPを排出する洗浄機能を組み込んだもの。フッ素樹脂を延伸した膜「ポアフロン」(自社製品)の技術を基にしたろ過膜装置で、世界で初めて同社が開発した。

 同社によると、海水中に多量に含まれるゼリー状物質がRО膜に付着するとRO膜が劣化して寿命が短くなる。そこで前処理でゼリー状物質の除去が必要になるが、従来からある砂濾過では除去しきれず、MF・UF膜だと膜表面に粘着して取れにくくなり、流量が大幅に低下してしまう。このため前処理に大きな面積の膜が必要となり、造水コスト上昇の要因となっていた。

 2年半前に開発に着手。東京海洋大学の実験所で開発を進め、TEP除去メカニズム解析については神戸大学から協力を得た。現在は東芝から実証実験の協力を得ているが、さらに実証を進めた上で来年度にも市場に投入する予定。海水淡水化の前処理市場は世界で1000億円市場といわれており、水不足が深刻化する中東やインド、中国で海水淡水化事業に取り組む国内外のプラントメーカーなどに売り込む方針だ

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