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茨城県議会

一般質問2日目/中丸川の調節池整備を/国道354号の強化

2011/12/10 日本工業経済新聞(茨城版)

 2日目は、大谷明氏(無所属)、星田弘司氏(自民)、設楽詠美子氏(民主)、本澤徹氏(自民)が登壇。大谷氏が中丸川の調節池整備を求め、後藤和正土木部長が重点的に用地買収に努める意向を示したほか、星田氏がつくば市内の国道354号の整備強化を要望。本澤氏が港湾背後地を守る対策を質問した。設楽氏は筑西幹線道路の整備状況を求め、後藤部長が(仮)小貝川新橋の約200m区間を昨年度に事業化し、下部工に着手したことを説明した。

 主な質問と答弁は次のとおり。


 大谷明議員


 【中丸川治水のための調節池整備】

 後藤土木部長 この調節池は、ひたちなか市の中心市街地より流入する雨水を貯留するとともに、下流への流出を抑制することにより、上・下流の浸水被害を軽減することが目的。中丸川の最上流にあたる昭和通り付近で、公園機能を併せ持つ多目的な調節池として計画。

 調節池の全体面積は約17haで、市の公園事業と一体的に整備を進め、用地取得率は県と市を合わせて89%。残る約2haの用地取得は、事業反対などで長期間難航しており、着工できていない。

 しかし、この調節池は単独で早期に治水効果を発揮できる施設であることから、整備を優先的かつ迅速に進める必要がある。このため、県と市で構成する「中丸川に関する事業推進調整会議」を活用し、市と一体となって、全力で用地問題などに取り組んでいる。

 さらに、今年度より中丸川の調節池を土木部の用地取得重点箇所に位置づけ、土地収用法も見据えながら、重点的・集中的に交渉を進め、早期に着工できるよう努める。


 星田弘司議員


 【東西幹線道路の整備強化】

 後藤土木部長 つくば市内の国道354号は、県道つくば真岡線の真瀬入口交差点から、学園東大通りの大角豆交差点までの延長約10・1㎞を、1999年度に4車線道路として都市計画決定。

 このうち、真瀬入口交差点から島名・福田坪土地区画整理事業区域内を通過する新都市中央通り線までの約2・1㎞は、谷田部バイパスとして2002年度から整備を進め、これまでに真瀬入口交差点から東側の約300m区間を4車線で供用している。

 残る約1・8㎞区間は、鋭意、改良舗装工事を進めており、来年度末ごろの供用を目指していく。

 また、学園西大通りの稲荷前交差点から大角豆交差点まで約2・5㎞は、谷田部東拡幅事業として、2003年度より整備を進めている。このうち、渋滞が著しい大角豆交差点から西側の約400m区間を優先整備するとしており、約3割の用地取得を行っている。

 本事業区間は、沿線に商業施設などが連担しており、移転補償費が多額となることから、今後も大角豆交差点側から段階的な整備を進め、順次供用を図るなど、効果的な事業推進を図っていく。

 谷田部バイパスと谷田部東拡幅の間にはさまれる未着手区間の約5・5㎞は、整備を進めている区間の進捗状況や周辺の交通量の動向などを見極めながら、事業化について検討していく。

 【生活道路整備と通学路の安全対策】

 後藤土木部長 県道谷田部藤代線は、つくば市谷田部地内の県道つくば野田線から取手市藤代地内の県道長沖藤代線に至る幹線道路で、常磐自動車道谷田部インターチェンジへのアクセス道路としても重要な役割を担っている。

 このうち、つくば市境田地内から県道取手つくば線と交差し茎崎地内に至る約4・4㎞区間は、幅員が狭い上に屈曲しており、通学路であるにもかかわらず歩道の設置されていない区間があるなど、歩行者や自動車の安全な通行に支障を来していることから現道拡幅事業に取り組んできた。

 これまで、県道取手つくば線との交差点から南側の約2・9㎞区間の整備を進めており、このうち約2・6㎞を供用。

 残る約300m区間は、懸案となっていた共有地の取得の見通しが立ったことから、速やかに用地買収し、来年度末の供用を目標に工事を進めていく。

 一方、県道取手つくば線との交差点から北側の約1・5㎞は、昨年度までに全区画にわたり用地測量が完了。

 このうち、谷田部南小学校の東側にある市道との交差点は、特に交通混雑が著しいことから最優先し、本年度から交差点付近の物件調査を行うとともに、用地取得を鋭意進めていく。


 設楽詠美子議員


 【筑西幹線道路の整備】

 後藤土木部長 計画延長約43㎞のうち、これまでに、先月開通した鬼怒川大橋など約88㎞が供用。現在、桜川市内の国道50号の4車線拡幅など、約9・7㎞で整備を進めている。

 このうち、県が整備する(仮)小貝川新橋の約200m区間は、昨年度に事業化し、橋梁下部工事に着手した。

 また、筑西市と古河市が合併支援道路としてそれぞれ整備する、都市計画道路一本松茂田線の約5㎞区間と、古河名崎工業団地につながる(仮)柳橋恩名線の約3・3㎞区間は、用地取得や道路改良が進められている。これらの区間は、県と市が一体となって平成20年代中ごろの供用を目指している。

 さらに、鬼怒川大橋から国道125号に至る約5㎞区間は、県、結城市、八千代町が分担して整備を進めることとし、現在、県で道路設計などを実施しており、来年度には、両市町と協力して用地取得に着手する。

 なお、残る未事業化区間は、今後、沿線の市町と充分に協議を重ねながら、ルート選定など整備に向けた検討を進め、筑西幹線道路の早期整備に努めていく。


 本澤徹議員


 【港湾背後地を守る対策】

 後藤土木部長 本県の港湾は、これまで利用船舶の安全確保を第一に考え、高潮や波浪対策として防波堤整備などを重点的に進めてきた。

 しかし震災による津波で、浸水想定区域を越える範囲まで浸水被害が拡がるとともに、コンテナが住宅地まで流出するなど、これまでの経験から想像もできない大きな被害が発生。このような自然災害の脅威を真撃に受け止め、今後、港湾背後地も含めた安全確保に向け、万全な取り組みを徹底して進めていく必要があると考えている。

 このことから、今後の津波対策は、国の中央防災会議などの提言を踏まえ、現在、国が進めている「首都圏の港湾における地震津波対策検討会議」で、対策の基本となる津波の高さや地域ごとの対策方針を検討している。

 これらの結果を踏まえ、各港の背後地の地形や土地利用などを考慮に入れながら、施設計画を策定し、迅速かつ着実な整備を進めていく。



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