クラレメディカル㈱(社長=松山貞秋、本社東京都千代田区、クラレノリタケデンタルホールディングス㈱100%出資)は19日、㈱クラレ新潟事業所内(胎内市倉敷町)において歯科材料新プラントの竣工式を挙行。式には関係者ら87人が参加した。神事のあと、新工場の完成を祝ってテープカットを行った。
伊藤文大・代表取締役社長はあいさつで、「本工事は昨年夏に着工して以来、無事に、安全に、順調に進められ、本日竣工の日を迎えることができました。これもひとえに建設に携われた関係各社、関係各位の大きな尽力のたまもの。クラレの歯科材料事業はスタート以来、順調に事業を拡大し、業界へ変革を促したと自負している。操業以来、倉敷事業所を増設して事業を拡大してきましたが、生産設備が老朽化したこと、増設スペースの余裕がなくなったことから、この新潟事業所に新しい生産設備を新設することに致しました。この生産設備が本格稼働するためには、もう少し時間を要しますが、我々一同、一丸となって1日も早い本格的な操業に結び付けたい」と語った。
また、来賓を代表して泉田知事は、「地元自治体としてもこの新製造所の竣工を大変嬉しく思っておりますとともに、厳しい経済環境の中、地域に一筋の光明と未来への大いなる希望を与えていただいたことに深く感謝申し上げたい。この新工場が1日でも早く稼働して、世界に貢献していただけるよう、地元自治体としても最大限の努力をしてまいりたいと思っております。まだ厚生労働省との事務手続きが残っていると聞いていますが、設備が円滑に稼働することが、企業体のみならず、社会全体にとっても意義深いことだと思っております。事業を実施する皆さんが安心できる経営環境づくりを地元政府として全力を上げて務め、『新潟で製造所を拡張してよかったな』と言われるような取り組みを進めてまいりたい」と関係者にお祝いの言葉を贈るとともに、事業への協力を約束した。
新プラント(スクラップ&ビルド)の建設は、国内・海外の需要拡大が将来的に期待できる、として、当初計画のクラレ倉敷事業所(岡山県)から変更、比較的スペースに余裕のあるクラレ新潟事業所内での建設を決めたもの。設備投資額は約55億円。
同社では、堅固で自然歯に近い外観の修復を実現する充填用コンポジットレジン、充填材と歯を接着するボンド、歯冠材と歯の間を埋めながら接着するセメントの3つの歯科材料分野で製品を展開。コンポジットレジンおよびボンドの分野では国内トップシェアを確立。現在では海外売上高比率も60%を超えている。同社では、プラントの完成を機に、さらなる国内市場の活性化と海外販売の強化に努め、事業の拡大を図る方針。
新工場の規模は、2階建て延べ約1万1000㎡。設備能力は、110万セット/年(現行は90万セット)で計画。将来的には倉敷の現行プラントから装置移設等を行い、150万セット/年までの増強を計画している。
今後は、薬事法の手続きを進め、来年秋以降の稼働開始を目指す。まずは国内向けの生産を立ち上げ、その実績を持って、ヨーロッパ、カナダでの手続に着手、アジアについても14年度中には手続を終えたい意向だ。倉敷からの設備移設を終えると、デンタル部門の生産拠点は新潟工場のみとなる。
同新工場の設計および建築、機械設備、電気設備工事、プラント一式はクラレの関連会社であるクラレエンジニアリング㈱(本社=大阪市北区梅田)が一括受注。施工協力として大本組が参加していた。
【写真=完成した新プラント工場では、関係者によるテープカットも行われた】