県富岡土木事務所が発注した工事現場で、本県で初めて「無足場アンカー工法」が採用され、コスト削減など実績をあげている。
この現場は、県富岡土木事務所が昨年8月に発注した南牧村砥沢地内の主要地方道下仁田臼田線で進められている単独公共道路維持修繕事業道路災害防除の鉄筋挿入工。南牧川に面した現場は、同村の代表的な観光地である「蝉の渓谷」に近い蝉橋の手前で、同線のルートでも特に山が迫り谷が深い地点。過去の台風や豪雨により道路にクラックが生じ、県が調査を進めた結果、今回の工事を行うことになった。
現場は、道路幅員も狭小で、電線などから作業環境も制約されるため、従来型の足場を組む工法では課題が多かった。工事を受注した市川工業(市川盛康社長、本社=富岡市)は、下請のアイビック(岩井健吉社長、本社=富岡市)と現場条件を見て協議した結果、アイビックが加入している「無足場工法」が最善と判断、県に提案した。この工法は、国土交通省NETISに登録された特許工法で、鳥取県に本部を置く無足場アンカー協会が工法を保有し、アイビックが同協会に加入している。この工法について、現場を担当している市川工業の津田忠夫技術者とアイビックの宮口裕基技術者は「最大の特徴であるワイヤー可動方式により、仮設足場やクレーンの設置が不要なため、高所・狭小地・飛び地など施工難度の高い条件地で特に効果を発揮し、コスト面にも優れている」と話す。提案を受けた県は検討した結果、立木も切らずワイヤーを設置する時に有効利用できる点やコスト面で有効な点を確認して採用を承認した。性能面でも削孔径φ70~90㎜といった小孔径で油圧式二重管削孔が可能なロストビット方式により、コスト削減と品質を同時に確保できる工法なことから、今後、本県でも普及が進みそうだ。
工法に関する問い合わせはアイビック(電話0274-63-1124)まで。